「AIで書いた原稿を出版するとき、申告のようなものが必要だと聞いたが、何をどこまで開示すればいいのか分からない」。AI活用による出版を検討する担当者から、こうした質問をよく受けます。

結論から言うと、Amazon KDPの規約には、AIで生成した文章・画像・翻訳を出版時に申告する仕組みがあります。ただし、申告の対象になる「AI生成」と、対象外になる「AI支援」は区別されています。この線引きを誤ると、申告が要らない原稿まで身構えたり、逆に申告すべき内容を見落としたりします。

この記事で分かること:

  • AI生成コンテンツの申告が対象にする範囲
  • 「AI生成」と「AI支援」の分かれ目
  • AIで下書きし人が編集した原稿がどちらに当たるかの考え方

「申告」はAmazon KDPの規約に定められた仕組み

本記事で扱う「申告」は、Amazon KDPのコンテンツガイドラインに定められた手続きです。出版物全般に一律の開示義務を課す法律があるかどうかは、当社では確認できていません。したがって本記事は、KDPという特定のプラットフォームの規約として説明します。他のストアや、書店流通を伴う紙の出版物に同じ基準が当てはまるとは限りません。

申告の対象——文章・画像・翻訳

KDPのコンテンツガイドラインでは、AIで生成した文章・画像・翻訳を出版時および既存の本を編集して再出版する際に申告する必要があるとしています。一方、人が作成した内容をAIで改善した「AI支援」は、申告の対象外です。

区分 具体例 申告
AI生成の文章 AIが生成した文章をそのまま、または軽微な修正で使用 必要
AI生成の画像 表紙や本文の挿絵をAIで生成 必要
AI翻訳 原稿全体または一部をAIで翻訳 必要
AI支援 人が書いた原稿をAIで校正・言い回しの改善 不要

対象は文章に限りません。表紙や挿絵をAIで生成した場合も申告の対象になる点は見落としやすいので注意してください。

「AI生成」と「AI支援」の線引きで迷う場面

規約が示しているのは「AIが生成したもの」と「人が作り、AIが改善したもの」という2つの型です。ですが、実際の制作は次のような中間形が多く、この2区分だけでは判断しきれません。

  • AIが章立てと下書きを作り、担当者が事実確認をしながら大きく書き直した
  • AIが生成した文章を、編集者が構成ごと入れ替えた
  • 素材(取材メモ・社内資料)は人が用意し、AIが文章化した

これらがどちらに当たるかを、ガイドライン本文だけから機械的に決めることはできません。判断に迷う原稿は、申告する前提で進めるほうが安全です。 最終的な解釈が必要な場合は、KDPのサポートに個別に確認することをおすすめします。

いつ申告するのか

申告のタイミングは2つです。

タイミング 内容
新規に出版するとき 出版時に申告する
既存の本を編集して再出版するとき 改訂のたびに申告し直す

一度申告して終わりではなく、既存の本を改訂して再出版するたびに、その時点の内容で申告し直す必要がある点は、忘れられやすいところです。改訂版でAI生成の挿絵を追加した、翻訳を差し替えた、といった変更も対象になります。

とくに見落としやすいのは、次のような部分的な改訂です。

  • 表紙だけをAI生成の新しいデザインに差し替えた
  • 既刊本を海外向けにAIで翻訳して追加出版した
  • 本文の一部の章だけをAIで書き直して再出版した

本文全体を作り直したときだけでなく、部分的な差し替えでも、その部分がAI生成に当たれば申告の対象になります。 「前回申告したから今回は不要」と判断せず、改訂のたびに内容を確認してください。

他のストアでも同じ基準か

楽天Koboやhontoなど、KDP以外の電子書店の規約は、当社では一次情報を確認できていません。この記事の内容はKDPに限った説明であり、他のストアにそのまま当てはまるとは限りません。複数のストアで販売する予定がある場合は、それぞれの公式情報でAI生成コンテンツの扱いを確認してください。KDPでのAmazon Kindle出版の流れ自体はAIで書くkindle出版|法人が会社の本をAmazonで出版する手順にまとめています。

似た「開示」と混同しない

「開示」「申告」という言葉が出てくる制度は、AI生成コンテンツの申告だけではありません。たとえば、事業者が広告であることを隠して発信することを規制するステルスマーケティング規制は、消費者庁が所管する景品表示法に基づく別の制度で、対象は「表示が広告だと分かるか」であり、AIが書いたかどうかとは関係ありません。

書籍の販促でSNSの感想を集める場面ではこちらの規制が関わってきますが、AI生成コンテンツの申告とは、開示の目的も、確認する窓口も別物です。 どちらも「開示」という言葉でまとめて考えると混同しやすいので、本記事のように制度ごとに分けて整理することをおすすめします。

AI生成コンテンツの申告 ステルスマーケティング規制
何についての開示か 文章・画像・翻訳をAIが生成したかどうか 発信内容が広告であるかどうか
定めているのは誰か Amazon KDPの規約 消費者庁(景品表示法)
確認する窓口 KDPのヘルプ・サポート 消費者庁の公表資料

表にすると別制度であることがはっきりします。書籍の内容そのものに関する申告と、販促の見せ方に関する規制を、同じ担当者が兼務で確認する場合は特に混同しやすいので注意してください。 出版の担当者が広報も兼ねている会社では、この2つを1つのチェックリストにまとめず、確認する規約や窓口ごとに分けて管理することをおすすめします。

当社が制作する原稿はどちらに当たるか

当社のAI書籍出版代行は、AIによる執筆とプロ編集者による品質確認を組み合わせています。原稿の起点がAIによる生成であるため、KDPの区分でいう「AI生成」に該当する可能性が高いという前提で進めます。

項目 対応
KDP申告欄への記入 当社がAmazon KDPへの入稿代行の中で対応
「AI生成」に該当するかの解釈 該当する前提で申告を行う
社内規定・取引先との契約上の開示義務 御社にご確認をお願いします
KDP以外のストアでの申告要否 各ストアの公式情報をご確認ください

申告そのものは、著作権侵害や虚偽記載のような問題とは別のものです。 申告した上で、内容が権利侵害や事実誤認を含まないよう確認する作業は、AIで書いた原稿でも変わらず必要です。この点はAIで企業出版するには?ChatGPTで会社の本を書く全手順でも触れています。

まとめ

  • Amazon KDPの規約では、AIで生成した文章・画像・翻訳を出版時と改訂時に申告する必要があります。
  • 人が作った内容をAIで改善した「AI支援」は、申告の対象外とされています。
  • AIが下書きし人が大きく書き直した原稿など、中間的なケースの線引きはガイドライン本文だけでは決めきれません。迷ったら申告する前提で進めてください。
  • KDP以外のストアの基準は各社の公式情報で確認が必要です。この記事はKDPに限った説明です。
  • 当社の原稿は「AI生成」に該当する前提で申告を代行しますが、社内規定上の開示要否は御社にご確認いただく範囲です。

申告の要否で迷う原稿があれば、KDPへの入稿を含めてご相談ください。

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参考情報

  • Amazon KDP コンテンツガイドライン(2026-09-19確認)— AIで生成した文章・画像・翻訳は出版時および既存の本を編集して再出版する際に申告が必要。人が作成した内容をAIで改善した「AI支援」は申告の対象外。

※本記事は一般的な説明であり、個別の事案についての法的助言ではありません。