コンサルティング会社の商品は、形のない「進め方」そのものです。しかし提案の場で語られる内容は、案件ごとに作り直す提案書に閉じ込められ、比較検討の段階では他社の提案書と並べられて埋もれがちです。独自の型(メソッド)を一冊にまとめておくと、提案書より前の段階で差別化ができます。 一冊にする前提での企画の立て方は会社の本のテーマの決め方でも扱っていますが、本記事ではコンサル会社特有の事情に絞って解説します。
提案書は個別最適化された使い捨ての資料です。一方、書籍は繰り返し使える型の提示物になります。本記事では、無形のメソッドをどう言語化し、一冊としてまとめるかを手順とつまずきどころに分けて整理します。同じ悩みを抱えるコンサル会社は多く、進め方に業種特有の型があるわけではありませんが、だからこそ言語化の手順を知っているかどうかで差がつきます。
この記事で分かること:
- 提案書と書籍が、それぞれ何を差別化するための道具か
- メソッドを言語化する手順と、つまずきやすい箇所
- 当社が引き受ける範囲と、御社にお願いする範囲の線引き
提案書だけでは差別化できない理由
コンプペで複数社の提案書が横並びで比較される場面では、体裁やスライドの見栄えは揃いやすく、内容面での違いが伝わりにくくなります。提案書は案件の個別事情に合わせて毎回書き直すため、会社としての一貫した考え方が見えにくいという構造上の弱点があります。
| 提案書 | メソッドを語る書籍 | |
|---|---|---|
| 作成の単位 | 案件ごと | 会社として一度 |
| 内容の中心 | その案件への提案内容 | 判断基準・進め方の体系 |
| 比較される場面 | コンペで横並び | 声がかかる前の情報収集段階 |
| 使い回し | できない | 複数の案件で繰り返し使える |
| 読み手が見るもの | この案件への回答 | この会社の考え方そのもの |
書籍は、提案書を出す前の候補者選定(ロングリスト)段階から差別化に働きます。「この会社は何を軸に考えるか」が先に伝わっていれば、提案書は補足の役割で済みます。 企業出版と商業出版の違いや、他の発信方法との比較は企業出版サービスの比較と選び方で整理しています。
メソッドを言語化する4つの手順
- 棚卸し:過去の提案書・議事録・報告書から、繰り返し使っている判断基準や進め方のパターンを拾い出します。担当者ごとに言い方が違っていても、根っこにある判断の軸は共通していることが多く、その軸を探す作業です。
- 体系化:拾い出したパターンに順序や構造を与え、独自の名称をつけます。ステップ数を増やしすぎると覚えてもらえず、逆に3ステップ程度に単純化しすぎると既存の理論と区別がつかなくなります。
- 事例の匿名化:具体的な成果を示したい場合は、業種や規模感だけを示し、個社が特定できる情報は伏せます。数値を出す場合も、対外的に確認が取れないものは書きません。
- 現場レビュー:実際にそのメソッドで案件を進めているコンサルタントに、抽象化しすぎていないかを確認してもらいます。ここで「実際にはもっと例外対応が多い」という指摘が出たら、その例外こそが書籍に書くべき判断の分かれ目です。
この4手順でもっともつまずきやすいのは1の棚卸しです。 熟練したコンサルタントほど、自分の判断基準を「当たり前のこと」だと思っていて、言葉にできません。ヒアリングでは「なぜそう判断したか」を具体的な案件に沿って何度も掘り下げる必要があります。
事例をどこまで具体的に書けるか
顧客との契約でNDA(秘密保持契約)が結ばれている場合、社名や案件の詳細を書籍に出すことはできません。コンサルティングは支援先の経営情報そのものに踏み込む仕事のため、この制約は広告制作会社などよりも厳しく設定されていることが少なくありません。この制約は広告制作会社などにも共通する論点で、詳しくはNDAで実績を語れない広告制作会社は、何を一冊のポートフォリオ代わりにするかでも扱っています。
コンサル会社の場合、書けるかどうかの判断は次のように分かれます。
| 書ける内容 | 判断が必要な内容 |
|---|---|
| 課題の型(業界共通で起きやすい問題の構造) | 特定の顧客が抱えていた固有の課題 |
| 自社の分析フレームワークの考え方 | フレームワークの元になった具体的な数値 |
| 支援でよくある誤解とその正し方 | 支援中に起きたトラブルの経緯 |
| 業種・規模感だけを示した匿名の例 | 匿名化しても業種と時期の組み合わせで特定される例 |
「業種+規模+時期」が揃うと、社名を出さなくても特定される場合があります。 迷う事例は、契約書のNDA条項を確認したうえで、顧客への事前確認をおすすめします。
メソッド化に向く会社・向かない会社
判断の分かれ目は、支援の進め方がどれだけ再現できるかです。
戦略提言のように案件ごとの分析内容が毎回変わるコンサルティングでも、分析にたどり着くまでの「進め方」自体は型にできることが多く、この部分は書籍化に向きます。一方、担当者個人の人脈や経験則だけに頼り、進め方を体系化することを本人が拒む場合は、無理に一冊にまとめようとすると、実態と離れた抽象論になりがちです。
会社の規模による違いもあります。独立コンサルタントや小規模な会社は、個人の型がそのまま会社の型になるため、棚卸しの負担が比較的小さく済みます。複数のコンサルタントが別々のやり方を持つ組織では、共通する判断基準だけを抜き出す作業に時間がかかり、その分ヒアリングの回数も増えます。
よくある失敗の型
- 独自フレームワークの名称だけが先行し、中身が既存の理論の言い換えに見える
- 抽象的な原則論に終始し、「結局どの支援会社にも言えること」になる
- 事例を詳しく書きすぎて、匿名化のつもりが特定可能な内容になる
- 経営理念やビジョンの説明に紙幅を割きすぎ、実際の進め方の説明が薄くなる
メソッドを一冊にする価値は、抽象的な理念ではなく、判断の分かれ目を具体的に書けるかどうかで決まります。 「Aの状況ならこう進める、Bの状況なら別の進め方をする」という条件分岐を書けるかが分かれ目です。読み手である見込み顧客が知りたいのは理念ではなく、自分の会社に置き換えたときにどう進むかという見通しです。
当社が引き受ける範囲・御社にお願いする範囲
メソッドの言語化は、御社のコンサルタントの時間を使うヒアリングが中心になります。原稿化と編集は当社が担当しますが、メソッドの正しさや現場での有効性を最終的に判断できるのは、日々そのメソッドを使っている御社だけです。役割分担をあらかじめ分けておくことで、制作途中の手戻りを減らせます。
| 当社が引き受ける範囲 | 御社にお願いする範囲 |
|---|---|
| コンサルタントへのヒアリング設計・実施 | 過去の提案書・議事録などの素材提供 |
| メソッドの構造化・原稿執筆・編集 | メソッド名称の最終決定・商標確認 |
| 匿名化の表現調整 | NDA条項の確認、必要に応じた顧客への確認 |
| 図表・表紙デザイン、KDPへの入稿代行 | 個別案件ごとの提案書への反映 |
当社の対応
当社のAI書籍出版代行は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**です。ヒアリング・企画設計からAIによる執筆、プロ編集者による品質確認、図表・表紙デザイン、Amazon KDPへの入稿代行、少部数の印刷・製本までを含みます。書店流通・書店営業・倉庫や在庫の管理は含みません。
版権は著者である御社に帰属します。原稿執筆は最短1週間が目安です(内容・分量・ご確認の状況により異なります)。受注の成立や案件の獲得を保証するものではありません。
まとめ
- 提案書は案件ごとの使い捨て、書籍は繰り返し使える型の提示物という役割の違いがあります。
- メソッドの言語化は「棚卸し→体系化→匿名化→現場レビュー」の4手順で進めます。もっともつまずくのは棚卸しです。
- NDAがある場合、業種・規模感だけを示す匿名化が基本です。業種+規模+時期が揃うと特定されるリスクには注意します。
- 抽象的な原則論に終始せず、状況ごとの判断の分かれ目を具体的に書けるかが価値を左右します。
- メソッド名称の最終決定や商標確認、NDA条項の確認は御社にお願いしています。
自社の型がまだ言葉になっていない段階でも、ヒアリングから始められます。