会社の本を作ったものの、「展示会で配るべきか、既存の取引先にダイレクトメールで送るべきか」で迷う担当者は多いです。どちらも社外に本を届ける方法ですが、誰に、どのタイミングで届くかがまったく違います。
展示会配布は、その場に来た人との対面接点です。ダイレクトメール送付は、すでに把握している宛先に、こちらのタイミングで届けます。接点を「作る」のか「深める」のかという違いで考えると、選び方が見えてきます。
本記事では、この2つの配布方法を接点の作り方・準備でつまずく点・コストの考え方の観点で比較します。
この記事で分かること:
- 展示会配布とダイレクトメール送付で、接点の性質がどう違うか
- それぞれの準備でつまずきやすい点
- 両方を組み合わせて使う進め方
接点の作り方の違い
| 項目 | 展示会配布 | ダイレクトメール送付 |
|---|---|---|
| 対象 | 会場に来た不特定多数(初対面が中心) | 既存の顧客・過去の商談先など、把握している宛先 |
| タイミング | 展示会の開催期間 | 自社で決められる |
| 接点の性質 | 新しい接点を「作る」 | 既存の関係を「深める」 |
| 会話の有無 | ブースでの会話を伴う | 基本的に一方通行(同封状で補う) |
| 反応の見え方 | その場で分かる(名刺交換・立ち話) | 後日の問い合わせ・反応を待つ |
新しい相手と出会う場が展示会、すでに知っている相手にもう一段深く知ってもらう場がダイレクトメールと考えると、どちらを優先すべきかが判断しやすくなります。
展示会配布が向く場面
展示会は、まだ接点のない見込み客と直接会える場です。ブースで会話をしながら本を渡せるため、「何をしている会社か」を興味を持った瞬間に手渡せるという強みがあります。
一方で、来場者数や関心の度合いは会場や当日の状況に左右されます。展示会配布に適した本の内容は展示会で配る本と採用で配る本で扱っていますので、あわせてご確認ください。
ブースの滞在時間は短いため、渡す瞬間に「これは何の本か」が伝わる表紙とタイトルが重要になります。表紙を見ただけで内容が想像できない本は、名刺交換の記念品のように扱われ、後で開かれないまま終わることがあります。
ダイレクトメール送付が向く場面
ダイレクトメールは、すでに関係がある相手に、こちらの都合の良いタイミングで届けられます。過去に商談したが受注に至らなかった先、休眠している既存顧客など、「もう一度思い出してもらいたい」相手に向いています。
封筒に添える送り状で「なぜ今この本を送るのか」を一言添えると、単なる会社案内より読まれやすくなります。宛先が明確な分、展示会配布より狙いを絞った使い方ができます。
送付先を絞り込めるという特性を活かすなら、全顧客に一律で送るより、休眠期間や過去の商談内容に応じて数十件単位のグループに分け、送り状の一文を変えるほうが読まれやすくなります。宛先ごとに内容を作り分ける手間はかかりますが、展示会配布では難しい個別対応がダイレクトメールの強みです。
準備でつまずきやすい点
| 準備 | 展示会配布でのつまずき | ダイレクトメール送付でのつまずき |
|---|---|---|
| 部数の見込み | 来場者数を読み違え、刷りすぎ・足りなくなる | 宛先リストの精度が低いと、送っても反応が薄い |
| 在庫の持ち方 | 会期に合わせてまとめて用意する必要がある | 発送のたびに必要数だけ用意しやすい |
| リスト・名簿 | その場で交換した名刺の後追い対応が必要 | 送付前にリストの重複・古い情報を整理する手間がかかる |
展示会用にまとめて必要な部数は、Amazon KDPの著者用コピーとして印刷コストで注文できます(別途送料)。ただし発注してから届くまでの日数を考えると、会期の直前に部数不足に気づいて慌てるケースが少なくありません。 まとめて刷る場合の考え方は会社の本を紙でも出すで解説しています。
ダイレクトメールは1件ずつ発送できるため部数の融通は利きますが、宛先リストの質が結果を左右します。 古い担当者名や誤字の残ったリストのまま送ると、届いても読まれません。宛先リストの作成・整理・発送作業そのものは御社の対応範囲で、当社が担うのは本の内容と、必要に応じた送り状の文面案の作成までです。
配布方法によるコストのかかり方の違い
展示会配布は、ブースの出展費用や会期中の人員配置など、本の配布以外にかかる費用のほうが大きいのが一般的です。本そのものは、その中の追加コストという位置づけになります。
ダイレクトメール送付は、印刷費に加えて郵送費と宛名管理の手間がかかります。送る件数に応じて費用が積み上がるため、リストを絞り込むほど1件あたりの効果を高めやすくなります。
具体的な件数や倍率、広告費の水準は、業種・会場・宛先リストの質によって大きく変わるため、本記事では数値を示しません。自社の過去の展示会・DM実績があれば、それを基準に見込みを立てることをおすすめします。
判断が逆転する場面
- 既存顧客の連絡先がほとんど無いが、次の展示会の出展は決まっている場合、ダイレクトメールを検討する余地自体がありません。 宛先がなければ送りようがないため、この場合は展示会配布が唯一の選択肢になります。
- 逆に、直近の展示会予定がなく、既存の取引先との関係を深めたいだけなら、展示会出展を急ぐ必要はありません。 出展費用をかけずにダイレクトメールから着手するほうが早く動けます。
- 注意したいのは、購入・レンタルした宛先リストへの発送です。 本記事で挙げたダイレクトメールの強みは「既存の関係を深める」ことが前提であり、面識のない宛先への一斉送付は、実質的に展示会と同じ「新規接点を作る」動きに近くなります。読まれる確率も、既存顧客宛てとは分けて考えてください。
両方を組み合わせる進め方
展示会とダイレクトメールは、どちらか一方を選ぶだけでなく、組み合わせる進め方もあります。
- 展示会で名刺交換したが本を渡しきれなかった相手に、後日ダイレクトメールで送る
- 展示会の会期後、来場者リストをもとに御礼状と一緒に本を送る
- 既存顧客にはダイレクトメールで先行して届け、新規の見込み客とは展示会で会う
**展示会は「出会う場」、ダイレクトメールは「渡しきれなかった分の受け皿」**として組み合わせると、1冊の本を作った投資を無駄にしにくくなります。展示会の直後は相手の記憶が新しいうちに送れる利点がある一方、会期後の事務作業に追われて後回しになりがちです。送付のタイミングをあらかじめ決めておき、担当者を割り当てておくと、機会を逃さずに済みます。
まとめ
- 展示会配布は新しい接点を作る場、ダイレクトメール送付は既存の関係を深める手段です。
- 展示会は部数の事前見積もりに、ダイレクトメールは宛先リストの精度につまずきやすい傾向があります。
- 展示会はブース出展費が本体、ダイレクトメールは送付件数に応じて費用が積み上がります。
- 具体的な効果の数値は会場や業種で大きく異なるため、自社の過去実績を基準に見込みを立ててください。
- 展示会で渡しきれなかった相手へのダイレクトメール送付など、組み合わせる使い方もあります。
配布方法によって、本に載せるべき内容やあとがきの書き方も変わります。目的に合わせた設計からご相談いただけます。
参考情報
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