電子書籍だけで足りる会社もあれば、紙が要る会社もあります。商談で手渡す、展示会で配る、面接で渡す。この用途には紙しかありません。
一方で「紙にすると在庫を抱えるのでは」という心配もあります。結論から書くと、必要な部数だけ持つ方法があります。本記事では、紙で用意する方法と、その使い分けを整理します。
この記事で分かること:
- Amazon KDPのペーパーバックでできること・できないこと
- 選べる判型とページ数、印刷コストの計算
- 手渡し用にまとめて刷る場合との使い分け
紙が必要になる場面
| 場面 | 紙が要る理由 |
|---|---|
| 商談・訪問 | その場で渡せる。相手の机に残る |
| 展示会・セミナー | 手に取ってもらえる。配布の口実になる |
| 採用・会社説明会 | 持ち帰って家族にも見せてもらえる |
| 社内配布・周年行事 | 記録として残る |
| 取引先への挨拶 | 形として成立する |
逆に、検索で見つけてもらうことが目的なら紙は不要です。 その用途では電子書籍のほうが適しています。
Amazon KDPのペーパーバック
Amazon KDPは、電子書籍と同じ管理画面から紙の本も出版できます。日本語は電子書籍とペーパーバックの両方に対応しています。
在庫を持たない
注文が入るたびに1冊ずつ印刷されます。前払いの印刷費も、倉庫も、売れ残りもありません。
選べる判型
Amazon.co.jp向けに選べる主な判型です(幅×高さ)。
| サイズ | 一般的な呼び方 |
|---|---|
| 10.5 × 17.3 cm | 小型 |
| 12.7 × 18.8 cm | 四六判 |
| 12.8 × 18.2 cm | 小型 |
| 14.8 × 21.0 cm | A5判 |
| 15.2 × 22.7 cm | 大きめの単行本 |
| 18.2 × 25.7 cm | B5判 |
| 21.0 × 29.7 cm | A4判 |
ほかにも複数のサイズが用意されています。商談で手渡す本は四六判かA5判が扱いやすく、図表が多い本や写真を見せたい本はB5判以上が向きます。
ページ数は多くの判型で24〜828ページの範囲です。用紙(白/クリーム色/ざら紙)とインク(モノクロ/カラー)の組み合わせによって、対応するページ数の範囲が変わります。
印刷コストとロイヤリティ
Amazon.co.jpで販売する場合のモノクロ印刷(白/クリーム色の用紙)の印刷コストです。
| ページ数 | 印刷コスト |
|---|---|
| 24〜110ページ | 1冊あたり422円 |
| 110〜828ページ | 1冊あたり206円 + 1ページあたり2円 |
カラー印刷はこれより高くなります(プレミアムカラーは42〜828ページで1冊206円+1ページ4円、スタンダードカラーは72〜600ページで1冊206円+1ページ3.5円)。
ロイヤリティは次の式で計算します。
(ロイヤリティ率 × 希望小売価格)− 印刷コスト = ロイヤリティ
Amazon.co.jpのロイヤリティ率は、希望小売価格が**999円以下なら50%、1,000円以上なら60%**です。希望小売価格の上限は30,000円です。
200ページ・モノクロ・定価1,500円なら、印刷コストは206 + 2×200 = 606円。ロイヤリティは 0.6×1,500 − 606 = 294円です。
ページ数が多いほど印刷コストが上がり、その分だけ定価も上げる必要があります。 分量を決める段階で、想定する定価と合うかを確認してください。
手渡し用の在庫を持つ
自社で配る分は、著者用コピーとして印刷コストで注文できます(別途送料)。著者用コピーは無料で配ることも、販売することもできます。購入分にロイヤリティは発生しません。
展示会前に必要な部数を注文する、という運用ができます。注文から到着までの日数は余裕を見てください。
なお、出版前に仕上がりを確認する校正刷りも注文できます。校正刷りには「再販禁止」の透かしが入り、ISBNも付きません。配布には使えませんが、色と紙の質感を実物で確認できます。初めて紙で出すときは、校正刷りを取ることをおすすめします。
KDPのペーパーバックでできないこと
日本語で出版したペーパーバックは、KDPの「外部流通」に登録できません。 外部流通は米国と英国の市場で提供されている仕組みで、KDPのヘルプにヘブライ語・イディッシュ語・日本語のペーパーバックは登録できないと明記されています。
つまり、KDPのペーパーバックだけでは、日本の書店の棚には並びません。 買えるのはAmazonです。
書店に並べることが目的なら、書店流通を含む企業出版のプランを選ぶ必要があります。詳しくはISBNと書店流通の基礎と企業出版サービスの比較と選び方をご覧ください。
まとめて刷る場合との使い分け
配布部数が多い場合は、印刷会社でまとめて刷るほうが単価が下がることがあります。ただし在庫を持つことになります。
| KDPのペーパーバック | まとめて印刷 | |
|---|---|---|
| 最低部数 | 1冊から | 事業者による |
| 在庫 | 持たない | 持つ |
| 前払い | 不要 | 必要 |
| 単価 | 部数によらずほぼ一定 | 部数が増えると下がる |
| 装丁の自由度 | 判型・用紙は選択肢から選ぶ | 指定できる幅が広い |
| Amazonでの販売 | できる | 別途手続きが必要 |
| 納期 | 注文ごと | まとめて |
判断の目安
- 常時Amazonで買える状態にしたい → KDPのペーパーバック
- 展示会で数百部を一度に配る → まとめて印刷を検討
- 両方 → KDPで出版し、配布分は別に刷る
配布部数の見込みが立たない段階では、まとめて刷らないほうが安全です。刷った本は減りません。
印刷会社の単価は、判型・用紙・部数・製本方法で大きく変わるため、本記事では金額を書きません。見積もりは仕様を決めてから取ってください。
日程の組み方
紙も出す場合、データの確定順序が決まっています。
- 原稿の確定
- 本文の組版 → ここでページ数が確定する
- 背表紙の幅を計算 → 表紙データの作成
- 入稿・校正刷りの確認
- 出版
背幅はページ数が決まらないと計算できません。 表紙を先に完成させると、原稿の増減で作り直しになります。表紙の要件は会社の本の表紙デザインにまとめています。
当社では原稿執筆は最短1週間が目安ですが、紙を含む場合は組版・校正刷りの確認が加わるため、全体の期間はこれより長くなります。展示会や周年行事に合わせる場合は、逆算して余裕を持って着手してください。
当社の対応
当社のAI書籍出版代行は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**です。
- Amazon KDPへの入稿代行(電子書籍・ペーパーバック)
- 少部数の印刷・製本
- 表紙・図表のデザイン
書店流通、書店営業、倉庫・在庫管理は含みません。出版の完了や販売の成果を保証するものではありません。
まとめ
- KDPのペーパーバックは日本語に対応し、注文のたびに印刷されるため在庫が発生しません。
- 判型は四六判・A5判・B5判など複数から選べ、ページ数は多くの判型で24〜828ページです。
- ロイヤリティは(率×定価)−印刷コスト。Amazon.co.jpの率は999円以下で50%、1,000円以上で60%です。
- 手渡し用は著者用コピーとして印刷コストで注文でき、無料配布も販売もできます。
- 日本語のペーパーバックは外部流通に登録できないため、KDPだけでは日本の書店には並びません。
- 背幅はページ数が確定してから。紙を含む日程はその前提で組んでください。
紙が必要か、電子だけで足りるか。用途からの整理でご相談いただけます。
参考情報
- Amazon KDP 本向けにサポートされる言語(2026-09-19確認)— 日本語は電子書籍とペーパーバックで利用できる。
- Amazon KDP 印刷オプション(2026-09-19確認)— Amazon.co.jp向けに選べる判型の一覧(12.7×18.8cm、14.8×21.0cm、18.2×25.7cm、21.0×29.7cmなど)と、多くの判型で24〜828ページというページ数の範囲。
- Amazon KDP ペーパーバックの印刷コスト(2026-09-19確認)— Amazon.co.jpのモノクロ印刷(白/クリーム色の用紙)は24〜110ページで1冊422円、110〜828ページで1冊206円+1ページ2円。プレミアムカラーは42〜828ページで1冊206円+1ページ4円、スタンダードカラーは72〜600ページで1冊206円+1ページ3.5円。
- Amazon KDP ペーパーバックのロイヤリティ(2026-09-19確認)— (ロイヤリティ率×希望小売価格)−印刷コスト=ロイヤリティ。Amazon.co.jpは999円以下で50%、1,000円以上で60%、希望小売価格の上限は30,000円。
- Amazon KDP 校正刷りと著者用コピー(2026-09-19確認)— 著者用コピーは印刷コストで注文でき、再販も無料配布も可能。校正刷りには「再販禁止」の透かしが入り、ISBNは付かない。
- Amazon KDP 外部流通(2026-09-19確認)— 外部流通は米国と英国の市場で提供。ヘブライ語・イディッシュ語および日本語で出版されたペーパーバックは登録できない。
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