採用ページや会社案内には、良い面ばかりが並びがちです。応募者はそれを見抜いており、入社してから「聞いていた話と違う」と感じた瞬間に、早期離職の芽が生まれます。

会社を良く見せる本と、実態を伝えて自己選択を促す本は、企画の出発点からして違います。本記事では、入社後のミスマッチを採用段階で防ぐという一点に絞って、本の書き方を整理します。

この記事で分かること:

  • 会社を良く見せる本がなぜ逆効果になるのか
  • 自己選択を促す構成の作り方
  • 取材で聞くべき相手と、社内で起きがちな抵抗への対応

早期離職はどこで生まれるか

早期離職の原因は一つではありませんが、採用段階に限って言えば、期待と実態の差が大きな要因になります。求人票や面接で聞いた内容と、実際に働き始めてからの日々にギャップがあるほど、離職までの期間は短くなります。

このギャップは、会社が嘘をついているとは限りません。良い面を選んで伝えた結果、悪気なく実態と違う印象を与えてしまうケースが大半です。

応募前に伝わっていたこと 入社後に分かったこと
「風通しの良い職場」 決定権が特定の人に集中している
「裁量を持って働ける」 手順の確立していない業務が多い
「成長できる環境」 教育の仕組みが整っていない

「良く見せる本」が生む逆効果

採用ブランディングの本を作る際、良い面を強調すること自体は自然です。しかし、実態との差が大きいほど、入社後の反動も大きくなります。採用に本を使う目的全般については採用ブランディングの一冊で扱っていますが、本記事はその中でもミスマッチ防止という一点に絞って掘り下げます。

良く見せる本によくある特徴は次のとおりです。

  • 抽象的な言葉(「風通しが良い」「裁量がある」)が多く、具体的な場面が書かれていない
  • うまくいった社員の声しか載っていない
  • 「向いていない人」についての言及が一切ない

これらは嘘ではなくても、読み手に実態以上の期待を抱かせます。期待が高いほど、入社後の落差も大きくなります。

自己選択を促す構成の作り方

実態を伝える本には、いくつか意図的に組み込む要素があります。

  1. 「こんな人には向きません」という項目を設ける。 誰にでも合う会社だと書くより、合わない条件を明示したほうが、読み手は自分事として判断できます。
  2. 業務内容を抽象語ではなく場面で描写する。 「裁量がある」ではなく、「初日から自分で顧客対応の順番を決める」のように、具体的な場面で書きます。
  3. 葛藤や難しさを経験した社員の声を含める。 成功体験だけでなく、慣れるまで苦労した経緯や、今も難しいと感じている点を含めると、読み手の想像とのズレが減ります。
  4. 給与や評価の仕組みを、範囲や条件つきで具体的に書く。 曖昧な期待を持たせないためです。
良く見せる本の書き方 実態を伝える本の書き方
抽象的な魅力語で締める 具体的な業務の場面で示す
成功者の声のみ 苦労した経緯を含む声も
向いていない人に触れない 向いていない人を明示する
待遇を印象で語る 待遇を条件つきで具体的に語る

取材で聞くべき相手

自己選択を促す内容を作るには、取材する相手の選び方が重要です。成果を出している社員だけに話を聞くと、良く見せる本と同じ結果になります。

  • 入社時に「聞いていた話と違った」と感じた経験がある社員
  • 今も特定の業務に苦労している社員(辞めていない理由も含めて聞く)
  • 実際に早期に離職した元社員がいれば、可能な範囲で理由を確認する(個人が特定される形では書かない)

取材内容をどこまで本文に反映するかは、事実確認の精度が求められる作業です。求人表示のあり方には確認が必要な法令上の論点が関わる場合があるため、個別の記載が問題にならないか、御社の人事・法務でご確認ください。

すでに退職した社員への取材は、実施できる会社とできない会社があります。連絡先が残っていない、退職時の状況から依頼しづらいといった事情がある場合は、無理に実施する必要はありません。 在籍中の社員の声だけでも、具体的な場面を丁寧に集めれば、自己選択を促す内容は十分に作れます。無理に退職者を探すより、在籍中の社員が今どこで難しさを感じているかを丁寧に聞くほうが、鮮度の高い実態を集めやすいという面もあります。

失敗の型

実態を伝える方針を掲げても、次のような形で骨抜きになることがあります。

  • 担当者一人で書いて、現場を巻き込まない。 人事担当者の想像だけで「実態」を書くと、結局は良く見せる本と同じ抽象的な内容になります。
  • 公開直前に、経営層や広報の一存でネガティブな記述を削る。 企画段階で合意した方針が、最終確認の場でひっくり返るのはよくある失敗です。
  • 求人票や採用サイトとの整合を取らない。 本では実態を書いたのに、求人票は従来どおり良い面だけという状態だと、応募者はどちらを信じればよいか分からなくなります。
  • 入社時期の違う社員の声を混ぜて、今の実態とズレる。 制度や体制が変わった後も、古い時期の声をそのまま使うと、かえって不正確になります。

特に2つ目は、企画の最初に経営層の合意を文書やメールなど形に残る形で得ておくことで、かなりの確率で防げます。口頭の同意だけで進めると、公開直前になって「やはり心配だ」という声が出やすくなります。当社でも、企画段階で合意した方針を編集の各段階で確認しながら進め、最終確認の場での揺り戻しを防ぐようにしています。

誰が最終的にこの内容を判断するのか

実態を伝える本の内容は、人事担当者だけでは決めきれません。経営層・現場の管理職・人事の三者で、公開する内容の範囲を事前にすり合わせておく必要があります。

関わる立場 主な役割
経営層 方針への合意、公開してよい範囲の最終判断
現場の管理職 業務の実態、部署ごとの働き方の確認
人事担当 取材の実施、求人票など他の採用資料との整合

現場の管理職が関与しないまま人事だけで進めると、実際の業務と本に書かれた内容がずれてしまい、入社後にかえって不信感を招くことがあります。

社内の抵抗にどう対応するか

実態を伝える方針は、社内で反対されることがあります。よくある反対意見は次のようなものです。

  • 「そんなに正直に書いたら応募が減る」
  • 「ネガティブな内容は社外に出したくない」

これらは、離職の原因を個人の資質の問題として捉え、採用段階の情報不足という視点が抜けていることから起きがちです。過去の早期離職の理由を、可能な範囲で数字や事例として経営層と共有し、方針への合意を先に得てから制作を進めると、途中での差し戻しを避けられます。

当社の対応範囲・御社にお願いする範囲

当社のAI書籍出版代行は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**で、従業員への取材、原稿の執筆、プロ編集者による品質確認、表紙・図表のデザイン、Amazon KDPへの入稿代行までを担当します。

一方で、労働条件や制度に関する記載が事実と一致しているかの最終確認、既存の求人票や採用資料との整合は御社にお願いしています。 早期離職の減少を成果として保証するものでもありません。継続的な社内向け発信として本を位置づける場合は、社内報に代わる継続的な発信もあわせてご検討ください。

まとめ

  • 早期離職の一因は、応募前の期待と入社後の実態の差にあります。
  • 良く見せる本は悪気なく期待を高め、結果として落差を大きくします。
  • 「向いていない人」の明示や、具体的な場面での描写が自己選択を促します。
  • 取材は成果を出している社員だけでなく、苦労した経験のある社員にも話を聞きます。
  • 労働条件の記載や社内の合意形成は、当社ではなく御社が担う範囲です。

応募前にどこまで実態を伝えるか、御社の採用課題に合わせてご相談いただけます。

AI書籍出版代行に相談する

※本記事は一般的な説明であり、個別の事案についての法的助言ではありません。