会社の本が完成すると、次に考えるのが「どう知らせるか」です。せっかく出版したのに、社内の一部しか知らないままでは、投じた時間が伝わりきりません。プレスリリースはその発信手段の一つです。
本記事では、出版という事実をニュースとして配信するプレスリリースの書き方と配信方法だけを扱います。展示会やセミナーでの活用など、発売後の別の販促手段は出版マーケティングで扱っています。
この記事で分かること:
- プレスリリースに書く要素と、ニュースになる角度の見つけ方
- 配信のタイミングと、送り先の考え方
- 当社が用意する素材と、御社にお願いする作業の線引き
「出版しました」だけでは弱い理由
プレスリリースは、記者や読者にとって「知る価値があるかどうか」で読まれ方が変わります。「会社の本を出版しました」という事実だけでは、社外の人にとっての意味が伝わりにくく、弱いニュースになりがちです。
角度を1つ添えると強くなります。たとえば、業界の課題に対する自社の考え方をまとめた本である、これまで公開していなかった知見を書籍化した、採用や周年行事など特定の目的のために制作した、といった切り口です。「何を出版したか」だけでなく「なぜ今、誰のために出版したか」を1文で説明できるようにしておくと、リリース全体の書きやすさが変わります。
プレスリリースに書く要素
一般的なプレスリリースは、次の要素で構成します。
| 要素 | 役割 | 書くときのポイント |
|---|---|---|
| タイトル | 内容を一目で伝える | 「〜を出版」だけでなく角度を含める |
| リード文 | 冒頭2〜3行で要点を伝える | 誰が・何を・いつ・どこで手に入るかを凝縮する |
| 本文 | 出版の背景と内容を説明する | 角度の説明、目次や章立ての紹介を含める |
| 会社概要 | 発信元の基本情報 | 事業内容、所在地、代表者名など |
| 問い合わせ先 | 記者や読者からの連絡窓口 | 担当部署・氏名・連絡方法を明記する |
| 購入・詳細へのリンク | 本にたどり着く導線 | Amazon KDPの販売ページのURLを載せる |
画像も重要な要素です。 表紙画像は必須として、著者や制作担当者の写真、目次の一部を見せる画像を添えると、記事化される際に使ってもらいやすくなります。
配信のタイミングと送り先
配信のタイミングは、Amazon KDPでの販売開始日に合わせるのが基本です。事前に原稿を準備し、購入できる状態になった当日または前日に配信すると、記事を見た読者がすぐに本にたどり着けます。販売開始前に配信すると、リンク先で購入できず機会を逃します。
送り先は、大きく3つの経路があります。
- 自社のWebサイトやオウンドメディアでの公開:確実に発信できる自社の窓口
- プレスリリース配信サービスの利用:複数のメディアへ一度に届けられる
- 関係のあるメディア・記者への個別の連絡:業界紙や取材実績のある媒体には直接連絡する方が読まれやすいことがある
配信サービスは事業者によって料金や配信先の範囲が異なるため、本記事では特定の事業者名や条件を挙げません。自社の予算や過去の広報実績に応じて選んでください。
配信前の社内確認フロー
配信直前になって内容の修正が入ると、販売開始日に間に合わなくなることがあります。あらかじめ確認の順番を決めておくと安心です。
| 段階 | 確認する人 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 下書き作成 | 広報担当者 | 角度と構成が本の内容と合っているか |
| 内容確認 | 制作担当者 | 章立てや引用箇所に誤りがないか |
| 最終承認 | 経営層・広報責任者 | 対外的な表現として問題がないか |
最終承認者を1人に決めておくと、複数人からの修正依頼が重なって配信が遅れる事態を避けやすくなります。承認の締め切りは、販売開始日から逆算して、最低でも数営業日前に設定してください。
つまずきやすい点
プレスリリースの作成・配信でよく起きるつまずきを整理します。
| つまずきの型 | 原因 | 避け方 |
|---|---|---|
| 角度がなく読まれない | 「出版した事実」だけを書いている | 業界課題や社会的関心とのつながりを1つ添える |
| リンク切れ・情報不足 | 配信時点でAmazon KDPのページが未公開 | 販売開始を確認してから配信する |
| 画像がない、または低解像度 | 表紙画像の準備が後回しになっている | 表紙データ確定と同時に配信用画像も書き出しておく |
| 問い合わせ先が曖昧 | 担当者が決まっていない | 配信前に窓口となる担当者を決めておく |
| 社内確認が間に合わない | 配信直前に内容を回している | 販売開始日から逆算して原稿の締め切りを設定する |
配信用の原稿と画像は、本の制作が完了してから作り始めると間に合わないことがあります。 表紙デザインが固まった段階で、並行して準備を始めておくと、販売開始日に配信できます。
本文の書き方でよくある改善点
プレスリリースの文章は、書籍そのものの文体とは役割が違います。次の点でつまずきやすいので、書いた後に見直してください。
| 改善前によくある書き方 | 改善のポイント |
|---|---|
| 「業界最高水準の一冊」のような誇張表現 | 具体的な事実(章立て、取り上げたテーマ)で語る |
| 社内でしか通じない略語や事業名 | 社外の読者が知らない前提で言い換える |
| 経営層のコメントがなく事実の羅列だけ | 代表者や担当者のひとことコメントを添える |
| 段落が長く要点が埋もれている | 1段落1メッセージを意識して区切る |
分量の目安はA4用紙1〜2枚程度です。 情報を詰め込みすぎると要点が伝わりにくくなるため、伝えたい角度を1つに絞り、それ以外の情報は問い合わせ先や自社サイトへの誘導で補う形にしてください。
本の目的別に変わる角度
本の目的によって、プレスリリースで強調する角度も変わります。
- 採用ブランディングを目的とした本なら、候補者にどう役立つかという角度
- 周年記念誌なら、会社の歩みのどの部分を伝えたいかという角度
- 経営者個人の考えをまとめた本なら、業界内での立ち位置や発信したいメッセージという角度
Amazon KDPでの出版そのものの手順はAIで書くkindle出版にまとめています。あわせて確認しておくと、配信タイミングの逆算がしやすくなります。
当社の対応範囲
当社では、原稿の要点整理や表紙画像など、プレスリリースに使える素材をご用意します。一方で、リリース文の作成そのものと、配信作業は基本のサービス範囲には含まれません。 御社の広報担当者、または外部の広報支援先での対応をお願いしています。
費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)で、ヒアリング・企画設計、AIによる執筆とプロ編集者による品質確認、図表・表紙デザイン、Amazon KDPへの入稿代行、少部数の印刷・製本が含まれます。プレスリリースの作成・配信、書店流通、書店営業、倉庫・在庫管理は含みません。
よくある失敗の型
配信でよく見る失敗も整理しておきます。
- 表紙画像の準備が後回しになり、配信直前に慌てて書き出す
- 販売開始前に配信してしまい、リンク先のページがまだ公開されていない
- 角度を絞らず、伝えたいことを詰め込みすぎて要点が埋もれる
- 配信後の問い合わせに対応する担当者が決まっておらず、連絡が滞る
配信用の原稿・画像・問い合わせ窓口の3点は、表紙デザインの確定と同じタイミングで準備を始めると、これらの失敗の多くは避けられます。
まとめ
- 「出版しました」だけでは弱く、業界課題や社会的関心とのつながりという角度を添えます。
- タイトル・リード文・本文・会社概要・問い合わせ先・購入リンクの6要素で構成し、表紙画像も用意します。
- 配信はAmazon KDPでの販売開始日に合わせ、事前に原稿と画像を準備しておきます。
- 送り先は自社サイト・配信サービス・個別のメディア連絡の3経路から、予算と実績に応じて選びます。
- リリース文の作成と配信は御社にお願いする範囲で、当社は原稿の要点や画像素材をご用意します。
発売のタイミングから逆算して、必要な素材を一緒に整理します。