原稿はGoogleドキュメントで書いていたのに、外部の編集者からはWordのファイルで戻ってきた。表紙は誰が何のソフトで作るのか決まっていない。社内で使うツールが統一されないまま進めると、途中でファイル形式の変換や作り直しが発生し、工数が余計にかかります。

結論から書くと、執筆・編集・組版という工程ごとに、向いているツールは違います。 1つのツールで最後まで完結させようとすると、どこかの工程で無理が出ます。本記事では、原稿からレイアウトまでの各工程でどのツールを使い分けるべきかだけを扱います。

この記事で分かること:

  • 執筆・編集・組版・表紙デザインという工程ごとに向いているツール
  • Word・Googleドキュメント・InDesignそれぞれの得意・不得意
  • ツールの選び間違いで起きる作り直しの典型例

工程ごとに求められることが違う

書籍の制作は、大きく分けて次の工程に分かれます。工程によって「誰が」「何人で」「どんな形式で」触るかが変わるため、1つのツールで全部をこなそうとすると無理が生じます。

工程 求められること 向いているツールの傾向
執筆 複数人での同時編集、コメントのやり取り ブラウザで開ける共同編集ツール
社内・関係者の確認 変更履歴、コメントの返信 変更履歴機能があるツール
外部編集者との校正 赤字の指摘、修正の反映確認 編集者が使い慣れているツール
本文の組版 ページ単位のレイアウト、ノンブル・見出しの統一 専用のレイアウトソフト
表紙デザイン 裁ち落とし・カラーモードなど印刷仕様への対応 専用のデザインソフト

執筆・確認の段階

原稿を書き、社内の関係者が確認する段階では、Googleドキュメントが扱いやすいツールです。ブラウザだけで開け、複数人が同時に書き込んでもコメント機能で意見を残せます。誰がいつ何を変更したかも履歴で追えるため、経営者・広報・人事など複数の立場からの確認が入る企業出版の原稿と相性がよい工程です。

一方で、外部の編集者に校正を依頼する段階になると、Wordの変更履歴・コメント機能でのやり取りを前提にしている編集者が多いのが実情です。 その場合は、Googleドキュメントで書いた原稿をWord形式で書き出し、以降のやり取りはWordに切り替える進め方が現実的です。

複数人が同時にWordファイルを直接編集すると、誰かの変更が上書きされて消えることがあります。 原本を1人が管理し、ほかの人はコピーに書き込んでから統合する運用にしてください。校正記号を使った赤字のやり取りについては校正記号の読み方・使い方で解説しています。

本文の組版の段階

原稿が固まったら、本文のレイアウトを組む段階に入ります。ここでWordやGoogleドキュメントのまま進めようとすると、つまずきが起きやすくなります。

WordやGoogleドキュメントは文書作成ツールであり、ページ単位で見出し・図表・余白を精密に配置することを想定していません。ページ数が多い本や、図表が多い本ほど、レイアウトが崩れやすくなります。

このため、本文の組版には専用のレイアウトソフト(InDesignなど)を使うのが一般的です。ページ単位でのデザイン、見出しスタイルの一括管理、印刷用データの書き出しに対応しており、ページ数が確定した後の微調整もしやすくなります。

表紙データの段階

表紙は、本文以上にツールの選択が結果に直結します。Amazon KDPは、電子書籍とペーパーバックのそれぞれで、表紙データに細かい要件を設けています。

項目 電子書籍の表紙 ペーパーバックの表紙
推奨・必須のサイズ 推奨は高さ2,560px×幅1,600px 判型とページ数から寸法を計算
カラーモード RGB CMYK(特色は使わずCMYKへ変換)
裁ち落とし 規定なし(縦横比1.6:1以上が理想) 仕上がり線の外側に3.2mm
ファイル形式 TIFFまたはJPEG PDF1ファイル(表裏一体)

PowerPointやWordの図形機能で表紙を作ると、カラーモードの変換や裁ち落としの指定に対応しきれないことがあります。 特にペーパーバックは、裏表紙・背表紙・表表紙を1つのPDFにまとめる必要があり、背幅はページ数から計算するため、本文の組版が終わってからでないと確定しません。専用のレイアウトソフトを扱えるデザイナーに任せるか、対応できるかどうかを事前に確認してから進めてください。表紙まわりの決め方全体は会社の本の表紙デザインにまとめています。

ツールを移すときのデータの受け渡し

工程を移るたびに、ファイル形式の変換が発生します。ここでの扱い方を決めておかないと、変換のたびに体裁が崩れたり、どちらのファイルに最新の修正が入っているか分からなくなったりします。

受け渡しの場面 起きやすいこと 対応の仕方
Googleドキュメント→Word 見出しスタイルや文字装飾が崩れることがある 書き出し後に見出しレベルと体裁を確認する
Word→組版ソフト 図表の位置や余白がそのまま反映されるとは限らない 図表はレイアウト側で改めて組み直す前提にする
組版ソフト→KDP入稿データ 書き出し設定を誤ると解像度やカラーモードが要件を満たさない 書き出し後にKDP側の要件と必ず照合する

受け渡しの後は、元のファイルとの差分を確認してください。 変換の過程で失われる情報があることを前提に、最終稿は変換後のファイルの側で確定させる運用にすると、どちらが正か分からなくなる事態を防げます。

ツールの選び間違いで起きること

  • Googleドキュメントで作った原稿を、そのままWordの体裁でレイアウトしようとして図表がずれる
  • 表紙をWordやプレゼン用ソフトで作り、KDPの入稿時にカラーモードや解像度の要件を満たせず作り直しになる
  • 複数人がWordファイルを直接編集し、誰かの修正が上書きされて消える
  • ツールを移すタイミングを決めておらず、途中の版がどれか分からなくなる

これらは、ツールそのものの良し悪しではなく、工程に合わないツールを使い続けたことで起きる失敗です。 執筆・確認・組版・表紙という節目ごとに、ツールを切り替える前提で進行表を組んでください。原稿作成そのものの進め方はAIで企業出版するには?もあわせてご覧ください。

当社の対応

当社のAI書籍出版代行では、原稿はAIで執筆し、プロ編集者が内容を確認します。図表・表紙デザインは専用のレイアウトツールで作成し、Amazon KDPの入稿要件に合わせたデータを用意します。

御社にお願いするのは、原稿内容の事実確認とフィードバックの共有です。やり取りに使うツールの形式(Word・Googleドキュメントなど)は、ご希望に合わせて調整できますのでご相談ください。

費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)です。

まとめ

  • 執筆・確認・組版・表紙デザインという工程ごとに、向いているツールは違います。
  • 執筆と社内確認はGoogleドキュメント、外部編集者とのやり取りはWordが扱いやすい傾向があります。
  • 本文の組版と表紙データの作成は、KDPの入稿要件に対応できる専用のレイアウトソフトが必要です。
  • 表紙の背幅はページ数から計算するため、本文の組版が終わってからでないと確定しません。
  • ツールを切り替えるタイミングを決めておくと、版の混乱や作り直しを防げます。

どのツールで、誰が、どこまで担当するか。制作フローの整理からご相談いただけます。

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