外部の編集者から校正紙が戻ってきたものの、赤字で書かれた記号の意味が分からず、何をどう直せばよいのか判断に迷う。企業出版の担当者から実際によく聞く悩みです。

校正記号は、限られた紙面に修正指示を正確に書き込むための、いわば専用の略号です。意味さえ分かれば、電話やメールで一つずつ確認しなくても、赤字だけで指示を読み取れるようになります。本記事では、赤字で書かれる校正記号一つひとつが何を意味し、どう対応すればよいかだけを扱います。校正会社にどこまでを依頼できるかという範囲の話は校正と校閲、外部への依頼範囲をどこで線引きするかで扱っています。

この記事で分かること:

  • よく使われる基本の校正記号と、それぞれの対応の仕方
  • トルツメとトルアキなど、間違えやすい記号の見分け方
  • 紙のゲラではなくデジタルでやり取りする場合の読み替え方

まず知っておきたい基本の校正記号

代表的な校正記号と、見かけたときにどう対応すればよいかをまとめます。

記号・指示 意味 対応の仕方
トル その文字・箇所を削除する 指示された範囲を削除する
トルツメ 削除して、前後の文字を詰める 削除後に空白を残さず詰める
トルアキ 削除して、1文字分程度の空白を残す 見出しなどの体裁に合わせて空白を残す
差し替え・挿入 矢印で示された位置に文字を入れる 添え書きされた文字をその位置に入れる
改行 その位置で行・段落を分ける 折れ線で示された箇所で改行する
続ける(回す) 改行をやめて文をつなげる 線でつながれた前後の行を1つの文にする
平仮名にする・漢字にする 該当箇所の表記を変える 丸で囲まれた語を指示通りの表記に直す
ルビ 読み方を添える 矢印で示された語の脇に読みを入れる

間違えやすい記号の違い

似ているようで意味がまったく違う記号もあります。誤読すると、レイアウトの崩れや修正漏れにつながります。

まぎらわしい組み合わせ 違い 見分け方のポイント
トルツメ と トルアキ 詰めるか、空白を残すかが逆 見出しや字取りに関わる箇所ほど、どちらか必ず添え書きを確認する
イキ(ノル) と 通常の取り消し線 イキは「一度直した箇所を元に戻す」指示 取り消し線の脇に「イキ」「ノル」と書かれていないか確認する
ママ と 疑問符(?) ママは「直さなくてよい」、疑問符は「著者に確認を求める」 ママは対応不要、疑問符は必ず何らかの返答が必要と理解する
差し替え(挿入)の矢印 と トル(削除)の線 似た線でも矢印の向きと添え書きで意味が逆になる 矢印の先に文字が添えてあるかどうかで区別する

この4組を取り違えると、直すべきところを直さない、直さなくてよいところを消してしまうといった逆の対応になります。 迷ったときは自己判断で処理せず、編集者に確認してください。

疑問符・ママ――判断を著者に戻す記号

校正記号の中には、削除や挿入のように作業をそのまま指示するものだけでなく、著者側の判断を求める記号もあります。代表的なのが疑問符(?)です。

疑問符は、事実関係や表記が本当に正しいかを著者に確認してほしいという合図です。数字や固有名詞、社内でしか分からない事実に付くことが多く、編集者側では正誤を判断できない箇所に使われます。

確認した結果、原文のままでよいと判断した場合は、その旨を「ママ」として書き添えて返します。ママは「誤りに見えるが、このままでよい」という指示で、以降の校正では訂正対象から外れます。

疑問符が付いた箇所を確認せずに放置すると、編集者は判断がつかないまま次の工程に進めざるを得なくなります。 必ず何らかの返答を添えて戻す運用にしてください。

校正記号を使うときの基本ルール

記号の意味を覚えても、書き方や運用の型を知らないと、かえって読み違いのもとになります。基本のルールを押さえておくと安心です。

  • 修正箇所は丸や線で囲み、余白に記号と指示内容を書く。本文の行間に直接書き込むと読みにくくなる
  • 同じページに複数の指摘がある場合は、番号や記号を振って、指摘とその対応箇所の関係を分かるようにする
  • 修正の理由も分かる範囲で書き添える。理由が分かれば、著者側も同じ観点でほかの箇所を見直せる
  • 反映が終わった箇所は、消し込みや色分けで対応済みと分かるようにしておく

この基本ルールは、著者側が指摘を返すときにも使えます。 指摘の理由まで書き添える習慣をつけると、編集者に意図が伝わりやすくなり、同じ誤りの再発も防げます。制作全体の進め方は会社の本の制作ツールの選び方もあわせてご覧ください。

複数人で同じゲラを回して確認する場合は、指摘を書く人ごとに色やペンを変えておくと、後から「誰の指摘か」で対応の優先度を判断しやすくなります。担当者が複数いる企業出版の原稿では、この一手間が反映漏れの防止につながります。指摘が重なって読みにくくなった場合は、無理に1枚にまとめず、指摘者ごとにコピーを分けてから編集者にまとめて渡す方法もあります。

紙のゲラでなくデジタルでやり取りする場合

最近は、紙に赤字を書き込むのではなく、PDFへの注釈やWordの変更履歴・コメント機能でやり取りするケースも増えています。この場合、記号そのものは使われませんが、指示の種類は「削除」「挿入」「確認依頼」のいずれかに整理できる点は変わりません。

コメントの文言を、この記事で紹介した記号の意味に置き換えて読むと、対応の判断がしやすくなります。ツールが紙からデジタルに変わっても、対応済みの箇所と保留にしている箇所を記録として残しておく点は共通しています。

初校・再校・念校で記号の出方が変わる

校正は一度で終わらず、複数回のやり取りを重ねます。段階によって、記号の出方や確認の重点が変わります。

段階 主な作業 記号の出方の傾向
初校 原稿とゲラを照合し、大きな誤りや疑問点を洗い出す 疑問符やトル・差し替えなど、記号の種類も件数も多い
再校 初校の指摘が正しく反映されたかを確認する 反映漏れの指摘や、新たに気づいた細かな修正が中心になる
念校 最終確認。大きな修正は基本的に入れない 記号はごく少なく、誤字脱字など最小限の確認にとどめる

段階が進むほど、大きな修正を入れる余地は狭くなります。 内容に関わる大きな変更をしたい場合は、初校の段階でまとめて出しておくと、後工程でのやり直しを避けられます。念校の段階で章立てや構成に関わる修正を出すと、レイアウトの組み直しが発生し、印刷や公開のスケジュールに影響することがあります。どうしても必要な修正か、次の版に回せる修正かを分けて考えてください。

当社の対応

当社のAI書籍出版代行では、原稿をAIで執筆したあと、プロ編集者が内容を確認します。このため、外部の編集者に改めて校正を依頼し、紙の校正記号でやり取りする工程は基本的に発生しません。

御社にお願いするのは、内容面の事実確認とフィードバックです。修正のご指摘は、校正記号を使っていただいても、コメントや箇条書きでいただいても、どちらでも反映作業に進められます。原稿執筆から確認までの流れ全体はAIで企業出版するには?にまとめています。

費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)です。

まとめ

  • 校正記号は、削除・挿入・確認依頼のいずれかを短い記号で伝えるための表記です。
  • トルツメとトルアキ、イキとママと疑問符は、意味が逆になりやすいため取り違えに注意してください。
  • 疑問符が付いた箇所は著者の判断が必要で、確認結果をママとして書き添えて返します。
  • PDFやWordのコメントでやり取りする場合も、指示の種類自体は紙の記号と同じです。
  • 初校では大きな修正をまとめて出し、再校・念校に進むほど修正の余地は狭くなります。

戻ってきた校正紙の読み方に迷ったら、記号の対応表を手元に置いて確認してみてください。

AI書籍出版代行に相談する