電子書籍で章の見出しをタップすると、そのページへ一気に移動できる目次を見たことがある方は多いはずです。あれは紙の本の目次をそのまま電子化したものではありません。見出し1つずつに目印を付け、その目印を並べたリストを別に作るという、電子書籍特有の作業でできています。

この仕組みを知らずに原稿を組んでしまうと、目次を開いても反応しない、途中の章だけ飛べない、といった不具合が校了間際に見つかりがちです。本記事では、タップ移動できる目次データをどう作るか、その手順とつまずきやすい所を整理します。

この記事で分かること:

  • 紙の目次と電子書籍の目次が、仕組みとして別物である理由
  • タップ移動を実現するための2つの要素と、作成の手順
  • 作業でつまずきやすい所と、当社と御社の作業分担

紙の目次と電子書籍の目次は別物

紙の本の目次は「何ページに何があるか」を示す一覧です。読者はページをめくって該当箇所を探します。電子書籍の目次は、項目を選ぶとその場所へ直接移動する操作の入り口です。仕組みが違うため、作り方も別に考える必要があります。

観点 紙の目次 電子書籍の目次
役割 ページ番号の一覧 タップで移動する操作の入り口
前提となる情報 確定したページ番号 見出しに付けた目印
表示される場所 本文の冒頭ページ 端末の目次メニュー(本文にも別途置ける)
崩れる原因 版が変わってページがずれる 見出しの目印が抜ける・重複する
確認方法 目視でページ番号と照合 実機でタップして移動先を確認

紙の目次をそのまま電子化しても、タップでは動きません。電子書籍の目次は、本文とは別に作るデータだという前提から作業を始める必要があります。

タップ移動を実現する2つの要素

タップで移動できる目次には、次の2つが必要です。

  1. 見出しに付ける目印:章や節の先頭に、その場所を指し示す一意の目印を付けます。目印が重複していたり抜けていたりすると、正しい場所に飛びません。
  2. 目印を並べた目次リスト:表示名(読者に見える章タイトル)と、対応する目印をひもづけたリストです。端末はこのリストを読み込んで、タップ可能な目次メニューとして表示します。

この2つが正しく対応して初めて、タップ移動が機能します。どちらか一方だけでは動きません。

目次データ作成の手順

  1. 章立てを確定する:目次に何を載せるかは、章立てが固まってから決めます。途中で章が増減すると、目印もリストも作り直しになります。
  2. 見出しに目印を付ける:本文の章・節見出しに、重複のない目印を1つずつ付けます。
  3. 目次リストを作る:読者に見せる表示名と、対応する目印を並べたリストを用意します。表示名は本文の見出しと言葉を揃えます。
  4. 本文と紐づけて書き出す:目次リストと本文データを組み合わせ、電子書籍として書き出します。
  5. 端末で実際にタップして確認する:完成後に画面上で見るだけでなく、実機で1項目ずつタップし、正しい場所に飛ぶかを確認します。

この最後の確認を省略すると、公開後に「目次が反応しない」という不具合に読者側で気づく形になります。 端末プレビューでの確認手順は電子書籍の校正|端末プレビューで確認すべきポイントにまとめています。

つまずきやすい所

つまずきの型 起きること 原因
目印の重複・抜け タップしても飛ばない、違う場所に飛ぶ 見出しへの目印付けを手作業で繰り返すうちに発生
表示名と見出しの不一致 目次を見ても本文の該当箇所が分かりにくい 目次リストの表示名と本文見出しを別々に書いた
項目数の過不足 目次が長すぎて探しにくい/短すぎて目的の場所に届かない 章だけか節まで載せるかを決めずに作業を始めた
本文修正後のずれ 校了直前の修正で目印の対応がずれる 見出しの削除・分割・順序変更を目次データに反映し忘れる

とくに校了直前の本文修正は要注意です。 見出しを1つ削っただけでも、目次リストとの対応を見直す必要があります。

目次に何を載せるか

章数が少ない本(10章前後まで)であれば、章だけを載せれば十分見つけやすい目次になります。章数が多い本や、1章が長い実務書では、主要な節も載せたほうが読者は目的の箇所にたどり着きやすくなります。

一方で、項目を増やしすぎると一覧が縦に長くなり、スマートフォンの小さい画面ではかえって目的の場所を探しにくくなります。「章だけで十分か、節まで必要か」は、章の数と1章あたりの長さから判断してください。

本文中に目次ページを置くかどうか

端末のメニューからタップで移動できる目次データとは別に、本文の冒頭に「目次」という見出しの1ページを置くこともできます。読者が端末のメニューを開かずに、本文をめくる感覚で全体の構成を確認できる利点があります。

ここで注意したいのは、本文中の目次ページと、端末メニュー用の目次データは別物だという点です。本文中の目次ページに章タイトルを並べただけでは、それをタップしても移動先には飛びません。移動できるようにするには、本文中の目次ページの各行にも、見出しへの目印へのリンクを個別に設定する必要があります。

両方を用意する場合、片方だけ作って安心してしまうと、「端末メニューからは飛べるのに、本文の目次ページからは飛ばない」といった食い違いが起こります。どちらを用意するか、あるいは両方用意するかは、章立てが確定した段階で決めておくと、後戻りが少なくなります。

目次の表示名と本文見出しの言葉づかい

目次リストに載せる表示名は、本文の見出しと同じ言葉を使うことをおすすめします。目次では短く言い換え、本文では別の見出しを付けていると、読者は目次で見た項目と本文の該当箇所が同じ場所だと気づきにくくなります。

とくに章タイトルが長い場合、目次では省略したくなりますが、省略しすぎると章の内容が目次だけでは推測できなくなります。目次の表示名は「短くすること」より「本文の見出しと対応が取れること」を優先してください。

当社の対応範囲

当社のAI書籍出版代行では、見出しへの目印付けから目次リストの作成、本文との紐づけ、実機でのタップ動作確認まで対応します。目次に何を載せるか(章のみか節を含むか)の設計もご相談いただけます。

御社にお願いするのは、目次に載せる章立てと表示名の最終確認です。この確認が校了直前に変わると、目印付けと目次リストの作り直しが発生し、その分だけ工程が後ろにずれます。 章立てはできるだけ早い段階で固めることをおすすめします。

EPUBという電子書籍データそのものの仕組みは、原稿からEPUBができるまでで解説しています。Kindle出版の全体の流れはAIで書くkindle出版をご覧ください。

AI書籍出版代行に相談する

複数の電子書店に配信する場合の注意

Amazon KDP以外の電子書店にも同じ原稿を配信する場合、目次データの作り方や確認方法がストアごとに異なることがあります。1つのストア向けに作った目次データが、別のストアでもそのまま同じように動くとは限りません。 複数のストアに配信する予定がある場合は、それぞれのストアで実機確認を行う前提でスケジュールを組んでください。

まとめ

  • 紙の目次はページ番号の一覧、電子書籍の目次はタップで移動する操作の入り口で、仕組みが異なります。
  • タップ移動には、見出しへの目印と、その目印を並べた目次リストの2つが必要です。
  • 目次データは章立てが確定してから作ります。途中の章の増減は作り直しにつながります。
  • 目印の重複・抜け、表示名の不一致、項目数の過不足が代表的なつまずきです。
  • 見出しへの目印付けから実機確認まで当社で対応し、章立てと表示名の最終確認は御社にお願いします。