電子書籍のデータができあがると、あとは公開するだけだと思ってしまいがちです。しかし紙の本と違い、電子書籍は読者の端末や設定によって見え方が変わります。 パソコンの画面できれいに見えていても、スマートフォンでは表がはみ出す、文字サイズを変えると見出しが折り返っておかしくなる、といったことが起こります。

この確認を怠ると、公開後に読者側で不具合に気づかれる形になります。本記事では、電子書籍特有の校正としてどこを確認すべきか、そのポイントを整理します。

この記事で分かること:

  • 紙の校正と電子書籍の校正で、確認する対象がどう違うか
  • どの端末・設定の組み合わせを確認すべきか
  • 電子書籍特有のチェック項目とつまずきやすい所

紙の校正との違い

紙の本は印刷して仕上がりが固定されるため、校正では「その1つの見た目」を確認すれば足ります。電子書籍は端末の画面サイズ、文字サイズの設定、明るさ・配色の設定によって表示が変わる「リフロー」という性質があります。つまり電子書籍の校正は、1つの正解を確認する作業ではなく、複数の見え方を確認する作業になります。

観点 紙の校正 電子書籍の校正
確認する対象 印刷される1つの仕上がり 端末・設定によって変わる複数の表示
崩れの原因 印刷・製本の工程 文字サイズ変更、画面サイズの違い
確認手段 色校正紙・見本誌 実機でのプレビュー
目次の確認 ページ番号が合っているか タップして正しい場所に飛ぶか
図表の確認 印刷解像度・色味 縮小されても文字が読めるか

プレビューで確認する組み合わせ

最低限、次の組み合わせでの確認をおすすめします。

確認する条件 見るポイント
スマートフォン(小さい画面) 表・図の文字がつぶれていないか、見出しが不自然に折り返っていないか
タブレット(大きい画面) 余白のバランス、図の拡大表示が崩れていないか
文字サイズを大きくした状態 見出しや表がはみ出さないか、改行の位置が不自然にならないか
文字サイズを小さくした状態 行間が詰まりすぎて読みにくくなっていないか

1つの端末・1つの設定だけで確認を終えると、別の条件で崩れに気づけません。 複数の組み合わせを見ることが前提になります。社内に複数の端末がない場合は、画面サイズの異なる端末を持つ社員に協力してもらう、あるいは制作を依頼している会社に確認済みの端末一覧を聞く、といった方法で確認範囲を広げてください。

電子書籍特有のチェック項目

  • 目次のタップ移動が機能するか:目次から各章に正しく飛べるかを、実際にタップして確認します。作成の仕組みは電子書籍の目次データの作り方にまとめています。
  • 文字サイズを変えても崩れないか:見出しの折り返し、表の列がはみ出していないかを確認します。
  • 画像・図表が縮小されても読めるか:スマートフォンの画面では図が小さく表示されるため、文字や数値がつぶれていないかを確認します。
  • 段落の字下げ・改行が正しく反映されているか:原稿作成時にスペースで字下げやインデントを表現していると、電子書籍では不要な空白として表示されることがあります。
  • 表組みが崩れていないか:横に長い表は、横スクロールできない端末では読みにくくなります。列数が多い表は、電子書籍向けに簡略化するかどうかを判断します。
  • 傍点・ルビなどの装飾表現:強調のための特殊な装飾は、端末によって意図どおりに表示されないことがあります。多用している場合は代替表現も検討します。
  • リンクの飛び先:本文中に他の章や参考情報へのリンクを置いている場合、そのリンクが実機でも正しい場所に移動するかを確認します。文章として正しく見えても、リンク先の設定が誤っていることがあります。

つまずきやすい所

つまずきの型 原因
紙の原稿をそのまま流用して確認漏れ 印刷用に組んだレイアウトのまま変換し、リフローでの崩れを見ていない
手作業の字下げ・改行が残る スペースでの字下げや改行を電子書籍データにもそのまま持ち込んでいる
パソコンの画面だけで完結させる 大きい画面ではきれいに見えるため、スマートフォンでの崩れに気づかない
表が多い原稿をそのまま流用 印刷では読める表組みが、電子書籍の画面幅では収まらない
内容の校正と表示の校正を混同する 誤字脱字の確認だけで済ませ、端末での見え方を確認しないまま入稿する

内容の校正(誤字脱字・事実確認)と表示の校正(端末での見え方)は目的が別です。 どちらか一方だけで済ませないようにしてください。作業を担当する人が違う場合は、どちらの観点で確認しているのかをあらかじめすり合わせておくと、確認したつもりで抜け落ちる項目を減らせます。

縦書き・横書きが混在する原稿の確認

会社の本では、本文は横書きでも、引用資料や図表の中だけ縦書きの文章を含めたい場合があります。電子書籍では、部分的な縦書き・横書きの混在が、端末や設定によって意図どおりに表示されないことがあります。縦書きの図表を多く含む原稿は、画像として組み込むか、内容を横書きで書き直すかを早い段階で判断してください。 校正の段階で気づくと、図表を作り直す時間が足りなくなることがあります。

確認の記録を残す

複数端末で確認した内容は、口頭のやり取りだけで済ませず、どの端末で・どの設定で・何を確認したかを記録に残しておくことをおすすめします。修正後に同じ箇所を再確認する際、前回何を見ていたかが分からないと、確認漏れの箇所を見落とす原因になります。とくに複数回の修正が入る原稿では、確認済みの項目と未確認の項目を分けて管理してください。

表紙の見え方も確認する

本文だけでなく、表紙もストアの一覧やサムネイル表示など小さいサイズで見られる場面があります。表紙の文字が小さいサムネイルでもつぶれず読めるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。表紙データの作り方は会社の本の表紙デザインで解説しています。

修正が入ったときの再確認の範囲

表示崩れを直す修正を入れると、その周辺だけでなく、別の箇所に影響が出ることがあります。たとえば表の列幅を調整すると、同じ表組みを使っている別の章にも同じ崩れが起きていないかを確認する必要があります。1箇所を直したら、その修正が本全体の同じパターンに影響していないかまで確認範囲を広げてください。 直した箇所だけを見て終えると、似た形の別の箇所を見落とすことになります。

当社の確認範囲と御社にお願いする範囲

当社のAI書籍出版代行では、複数端末・複数の文字サイズ設定でのプレビュー確認と、表示崩れが見つかった場合の修正まで対応します。

御社にお願いするのは、本文の内容・固有名詞・数字が正しいかという内容面の最終確認です。表示の崩れは当社側で見つけて直せますが、書かれている内容が事実と合っているかどうかは、御社でしか判断できません。

電子書籍データそのものの仕組みは原稿からEPUBができるまで、Kindle出版全体の流れはAIで書くkindle出版にまとめています。

AI書籍出版代行に相談する

まとめ

  • 電子書籍は端末や設定によって表示が変わるため、校正は「1つの見え方」ではなく「複数の見え方」を確認する作業になります。
  • スマートフォンとタブレット、文字サイズを変えた状態など、複数の組み合わせでの確認が必要です。
  • 目次のタップ移動、図表の縮小時の見やすさ、字下げ・改行の反映、表組みの崩れが電子書籍特有のチェック項目です。
  • 紙の原稿をそのまま流用したり、パソコン画面だけで完結させたりすると、公開後の不具合に気づけません。
  • 表示の確認・修正は当社で対応し、本文の内容そのものの最終確認は御社にお願いしています。