Kindleで電子書籍を出版しようと調べると、「EPUB」という言葉によく出会います。しかし多くの方にとって、それが何を意味し、原稿からどうやって出来上がるのかは分からないままではないでしょうか。

結論から言うと、EPUBは電子書籍で広く使われているファイル形式で、紙のPDFとは違い、端末の画面サイズや文字サイズに合わせて表示が組み替わるという性質を持っています。この性質があるからこそ、スマートフォンでもタブレットでも読みやすい表示になります。本記事では、EPUBの基本的な考え方と、原稿からEPUBができるまでの流れを整理します。

この記事で分かること:

  • EPUBとPDFの違いと、それぞれが向いている用途
  • 原稿からEPUBデータができるまでの工程
  • AIで書いた原稿を入稿するときに関わる申告の考え方

EPUBとは何か

EPUBは、電子書籍で広く使われているファイル形式です。紙面をそのまま画像のように固定するPDFとは違い、EPUBは文字の情報を保持したまま、読者の端末の画面サイズや文字サイズの設定に応じて表示が自動的に組み替わります。この性質は「リフロー」と呼ばれます。

観点 PDF EPUB
レイアウト 固定(紙面をそのまま再現) 可変(端末に合わせて組み替わる)
文字サイズの変更 追随しない(拡大すると紙面ごと大きくなる) 追随する(文字だけ大きく/小さくなる)
小さい画面での読みやすさ 縮小表示になりやすい 画面幅に合わせて折り返す
向いている用途 レイアウトを厳密に固定したい資料 スマートフォンなどで読む電子書籍

会社の本を電子書籍として広く読んでもらうことを重視するなら、EPUB形式が向いています。 紙面デザインを厳密に再現したい場合はPDFという選択肢もありますが、読みやすさとのトレードオフになります。

原稿からEPUBができるまでの流れ

  1. 原稿を確定する:Wordなどで書かれた原稿の内容を固めます。
  2. 見出し構造を整理する:どこが章の始まりで、どこが節の始まりかを明確にします。この構造が、後の目次データ作成の土台になります。
  3. 本文をEPUB用に整える:印刷前提の改ページ・段組み・手動の字下げなど、そのままでは電子書籍で意味を持たない書式を調整します。
  4. 目次データ・表紙画像を組み込む:タップで移動できる目次データと、表紙の画像データを本文に組み込みます。目次データの作り方は電子書籍の目次データの作り方にまとめています。
  5. 複数端末で確認する:変換後のデータを実際の端末で確認します。画面サイズや文字サイズを変えても崩れないかを見る、電子書籍ならではの確認作業です。項目は後述します。
  6. ストアへ入稿する:確認が済んだデータをAmazon KDPなどのストアへ入稿します。

紙の原稿をそのまま流用できない理由

Wordで紙の本を前提に組んだ原稿には、電子書籍では意味を持たない、あるいは崩れの原因になる書式が含まれていることがあります。

  • 手動の改ページ:紙では意味がありますが、電子書籍では文字サイズが変わるためページの区切りとして機能しません。
  • スペースによる字下げ:電子書籍では不要な空白として表示されることがあります。
  • 段組み:紙面を複数の段に分けるレイアウトは、画面幅が狭い端末では成立しません。
  • 横に長い表:紙では収まっても、電子書籍の画面幅では表示しきれないことがあります。

これらをそのまま持ち込むと、変換後に見出しの位置がずれる、余計な空白が入る、といった不具合につながります。電子書籍向けの調整は、原稿が完成した後の別工程として見込んでおく必要があります。 紙とKindleの両方を出す場合は、共通の原稿から出発しつつ、途中の工程で紙用と電子用に枝分かれすると考えると、スケジュールが立てやすくなります。

AIで書いた原稿を入稿するときの注意点

Amazon KDPには、AIで生成した文章・画像・翻訳を入稿時に申告する仕組みがあります。一方で、人が作成した内容をAIで改善した「AI支援」は、この申告の対象外とされています。

当社のAI書籍出版代行では、ヒアリングで引き出した御社の情報をもとにAIが原稿を生成し、プロ編集者が事実確認と品質確認を行います。この制作プロセスの性質を踏まえたうえで、入稿時の申告を適切に行います。

校正刷りとの違い

紙のペーパーバックには、出版前に仕上がりを確認する「校正刷り」という仕組みがあります。電子書籍のEPUBデータは紙のように印刷して手元で確認するものではなく、画面上のプレビューや実機での表示確認によって、公開前の仕上がりを確認します。 確認すべき具体的な項目は、電子書籍の校正|端末プレビューで確認すべきポイントにまとめています。紙と電子の両方を出す場合、それぞれ別の方法で仕上がりを確認する必要がある点は覚えておいてください。

見出し構造を後から直すと何が起きるか

EPUBへの変換が終わった後で見出しの追加や削除を行うと、目次データとの対応がずれることがあります。見出し構造は、EPUBへの変換に入る前になるべく確定させておくことをおすすめします。 どうしても校了間際に見出しを変更する場合は、目次データと本文の対応を必ず再確認してください。この確認を省略すると、目次のタップ移動が正しく機能しないまま公開されてしまう恐れがあります。

当社の対応範囲

作業 当社 御社
見出し構造の整理 対応
EPUB形式への変換 対応
目次データ・表紙画像の組み込み 対応
複数端末でのプレビュー確認 対応
AI生成コンテンツの申告判断 対応
本文の内容・固有名詞・数字の最終確認 対応

当社のAI書籍出版代行は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**で、Amazon KDPへの入稿代行を含みます。価格とロイヤリティの仕組みは電子書籍の価格設定とロイヤリティ計算の考え方、Kindle出版全体の流れはAIで書くkindle出版をご覧ください。

AI書籍出版代行に相談する

改訂版を出すときの考え方

出版後に内容を更新した改訂版を出す場合も、原稿の修正箇所から見出し構造の整理、EPUBへの再変換、複数端末での再確認という一連の流れは変わりません。修正した範囲が小さくても、目次データとの対応や表示崩れが新たに発生していないかは、初版と同じ手順で確認する必要があります。 「一部だけ直したから確認も一部でよい」とは限らない点に注意してください。

まとめ

  • EPUBは電子書籍で広く使われているファイル形式で、画面サイズや文字サイズに応じて表示が組み替わる「リフロー」という性質を持ちます。
  • 原稿はまず見出し構造を整理し、印刷前提の書式を調整したうえでEPUB用に変換します。
  • Wordの手動改ページやスペースによる字下げは、そのまま電子書籍に持ち込むと崩れの原因になります。
  • Amazon KDPにはAI生成コンテンツの申告の仕組みがあり、人が作った内容をAIで改善した「AI支援」は対象外です。
  • 見出し構造の整理から入稿までの技術的な工程は当社が担当し、本文内容の最終確認は御社にお願いしています。

参考情報

  • Amazon KDP コンテンツガイドライン(2026-09-19確認)— AIで生成した文章・画像・翻訳は出版時や既存の本の再出版時に申告が必要。人が作成した内容をAIで改善した「AI支援」は申告の対象外。