AIに会社の本を書かせようとして、最初に手が止まるのは「何を材料として渡せばよいか分からない」という段階です。AIは、渡された情報をもとに文章を組み立てます。元ネタが薄ければ、当たり障りのない一般論で埋まった原稿になります。

本記事では、AI執筆の元ネタとなる社内資料をどこから集め、どう整理すればよいかを整理します。

この記事で分かること:

  • 元ネタになる資料の種類と、社内のどこにあるか
  • 資料集めでよく止まる原因と、その対処
  • AIに渡す前の整理の仕方

「元ネタ」とは何を指すか

会社の本の元ネタになるのは、次のような資料です。

資料の種類 社内でのありか 優先度
議事録・経営会議資料 総務・経営企画部門 高(方針・判断の経緯が分かる)
過去の広報物(社内報・プレスリリース) 広報・総務部門 高(すでに文章化されている)
周年記念誌・過去の社史 総務部門、応接室の保管棚 高(社史・記念誌を作る場合)
採用ページ・会社案内 人事部門、Webサイト 中(すでに整った表現がある)
社長の挨拶原稿・講演資料 秘書室、社長本人 中〜高(社長本の場合は最重要)
顧客向け提案書・実績資料 営業部門 中(事例・実績を扱う場合)
写真・アルバム 各部門、個人が保管 中(権利関係の確認が必要)

すべてを集める必要はありません。 本の章立てに関係する資料から優先して集めれば十分です。表にない資料でも、章の内容と関係がありそうなものは、念のため候補として残しておいてください。

資料が集まりにくい理由

社内資料が集まりにくいのは、次のような事情があるためです。

  • 資料が部門ごとに分散していて、全体を把握している人がいない
  • 作成した担当者が退職しており、所在が分からなくなっている
  • 紙でしか残っておらず、倉庫や書庫の奥にある
  • 「社外秘」の資料と「本に使ってよい」資料の区別が社内でついていない

とくに退職者が作成した資料は、引き継ぎのタイミングで存在自体が忘れられていることがあります。 心当たりのある部署に「〇年前の周年行事の記録はありませんか」と個別に聞いて回ることで見つかるケースも珍しくありません。

「社外秘」の資料をどう扱うか

議事録や経営会議資料の中には、本にそのまま書けない内容(未公表の数字、人事に関する記述など)が含まれていることがあります。資料を集める段階では、本に使ってよい部分と使えない部分を分けて渡してもらうか、資料をいったんすべて受け取ったうえで、当社側で本に使う候補だけを提示し、御社に使ってよいかを確認してもらう、という順序で進めます。資料の提供そのものをためらって集めるのをやめてしまうと、元ネタが薄いまま執筆が始まってしまいます。

集める手順とつまずきやすい点

資料集めは、次の順序で進めると止まりにくくなります。

  1. 本の章立てを仮に決める(何について書く本かを先に固める)
  2. 各章に必要な資料の種類をリスト化する
  3. 資料の所在に心当たりのある部署・担当者に依頼する
  4. 集まった資料を、章ごとのフォルダに分けて保管する
  5. 不足している部分を、関係者への聞き取りで補う

つまずきやすいのは手順1を飛ばして、いきなり「集められる資料を全部集める」やり方です。目的が決まっていないまま資料だけを集めると、量は増えても使える形になりません。 本のテーマの決め方は会社の本のテーマの決め方|読者と目的から企画を固める手順で扱っています。

もう一つのつまずきは、依頼した部署からの回答待ちで止まることです。依頼するときは「いつまでに」を明記し、章ごとに小分けにして依頼すると、対応が進みやすくなります。

資料が多すぎて絞れない場合

反対に、資料が大量にあり、どれを使えばよいか絞れないという相談もあります。この場合は、章立てにない情報は後回しにするという判断基準を先に決めておくと、選別の作業が早く終わります。「いつか使うかもしれない」という理由だけで資料を全部読み込もうとすると、着手そのものが遅れます。

AIに渡せる形に整理する方法

資料が集まったら、AIに渡す前に次の整理をしておくと、狙った内容の原稿になりやすくなります。

整理の作業 目的
章ごとにフォルダ・ファイルを分ける 関係のない資料をAIに読ませないため
時系列の資料は年表にまとめる 社史・沿革など時系列が重要な章で使う
社内でしか通じない略語・愛称を一覧化する AIが誤って一般的な意味で解釈するのを防ぐため
数字には出典と確認日をメモする 後のファクトチェックで確認の手間を減らすため

資料をそのまま大量に渡すより、章の目的に関係する部分だけを抜き出して渡すほうが、AIは狙った内容を書きやすくなります。 原稿作成全体の流れはAIで企業出版するには?ChatGPTで会社の本を書く全手順にまとめています。

数字・固有名詞は出典をメモしておく

売上・従業員数・創業年などの数字や、人名・役職名を資料から拾うときは、「どの資料の、いつの時点の数字か」を必ずメモに残してください。 出典のメモがないまま原稿に数字を入れると、後のファクトチェックの段階で、どの数字が最新か分からなくなります。事実確認の役割分担は出版前のファクトチェックの進め方と会社・編集者の責任分担の決め方で扱っています。

資料が見つからない場合の代替

資料が見つからない部分は、関係者への聞き取りで補います。ただし聞き取りには次の注意が必要です。

  • 記憶だけに頼ると、年号や数字の誤りが起きやすい
  • 複数人に同じ出来事を聞くと、細部の食い違いが見つかることがある
  • 食い違いが見つかった場合は、断定を避けた表現に直すか、確認できる範囲にとどめる

聞き取りは資料の代わりにはなりますが、資料そのものより裏づけが弱くなります。 重要な数字や日付ほど、聞き取りだけで確定させず、可能な範囲で記録と照らし合わせることをおすすめします。

聞き取りをする際は、1人にまとめて聞くのではなく、可能であれば複数人に同じ質問を投げてみてください。同じ出来事について複数の証言が一致すれば、その部分の確からしさは高まります。 逆に食い違いが出た場合は、その事実を確定させず、確認が取れるまで原稿には反映しません。

当社の対応範囲

資料の準備は、基本的に御社にお願いしています。当社は、ヒアリングの段階で章立てに沿った質問リストをお渡しし、何を、どの形で用意していただければよいかを具体的にお伝えします。

  • 当社が担当する範囲:質問リストの作成、いただいた資料の整理・原稿への反映
  • 御社にお願いする範囲:社内での資料の所在確認、資料の提供、聞き取り対象者の調整

質問リストは、章立てが仮に決まった段階でお渡しします。着手前にすべての資料を揃えていただく必要はなく、進めながら不足分を追加でご相談いただく形でも対応できます。

社内の資料探しそのものを当社が代行することはできません。着手前にどの資料が必要かが分かっているほど、執筆はスムーズに進みます。資料の整理に不安がある場合は、集まった時点のまとまりのない状態でお渡しいただいて構いません。章立てに沿った振り分けは、ヒアリングを踏まえて当社側で行います。

まとめ

  • 元ネタになる資料は、議事録・広報物・過去の社史・採用ページ・提案書など多岐にわたります。
  • 章立てを先に決め、必要な資料から優先して集めると止まりにくくなります。
  • 退職者が作成した資料は所在が分からなくなりやすく、個別に聞いて回る必要があります。
  • AIに渡す前に、章ごとの整理・年表化・略語一覧・数字の出典メモをしておくと精度が上がります。
  • 資料が見つからない部分は聞き取りで補いますが、裏づけが弱くなる点に注意してください。

どの資料をどこまで集めればよいか、ヒアリングの段階で一緒に整理します。

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