本のテーマが決まっても、それをどう章に分けて、どんな順番で並べるかで、読みやすさは大きく変わります。テーマは同じでも、章立て次第で「最後まで読まれる本」にも「途中で止まる本」にもなります。

テーマの決め方そのものは会社の本のテーマの決め方で扱っています。本記事では、決まったテーマを、読者が最後まで読める章立てにどう分解して並べるかという構成技術だけを扱います。

章立ては一度決めたら終わりではなく、原稿を書きながら見直すものです。まず作るための手順を整理し、そのあとで見直すときの視点を紹介します。

この記事で分かること:

  • 目的別に使える章立てのパターン
  • テーマを章に分解し、並べる手順
  • 章立てでつまずきやすい箇所とその直し方

章立てのパターンを知る

会社の本の章立ては、大きく分けていくつかの型に分類できます。本の目的によって向き不向きがあります。

パターン 特徴 向いている本
時系列型 創業から現在、未来へと時間軸で並べる 社史・記念誌、創業の歩みを伝える内容
課題解決型 現状の課題→考え方→具体策→効果の順で並べる サービス・ノウハウ紹介、経営者の考え方を伝える本
テーマ別型 章ごとに独立したテーマを横並びで扱う 複数の事業・部署を紹介する本、採用ブランディング
Q&A型 読者が持つ疑問を章のタイトルにして答えていく 専門性の高いテーマ、読者の疑問が明確な本

一冊の中で複数の型を組み合わせることもあります。全体は課題解決型にしつつ、最終章だけ時系列で会社の歩みを振り返る、といった構成です。時系列型の具体的な組み方はAIで社史・記念誌を書くでも扱っています。

どの型で作るか迷ったときは、想定読者が本を手に取る場面を思い浮かべてください。展示会でその場でめくって読む読者が多いなら、章ごとに完結するテーマ別型やQ&A型のほうが、途中からでも読み進められます。腰を据えて最初から読む読者が多いなら、時系列型や課題解決型のような、通して読むことで効果が出る構成も選択肢に入ります。

テーマを章に分解する手順

  1. 伝えたいメッセージを1文にする:この本を読み終えたとき、読者に何を持ち帰ってほしいかを1文で書き出します。
  2. 読者が抱く疑問を書き出す:想定読者が本のテーマについて持つであろう疑問を、思いつく限りリストにします。
  3. 疑問をグループにまとめる:似た疑問をまとめ、いくつかの塊(のちの章)にします。
  4. 塊を並べる順番を決める:総論から各論へ、既知から未知へ、といった原則で並べ替えます。
  5. 各章に見出しを付ける:見出しだけを読んで、その章で何が分かるかが伝わるようにします。
  6. 目次だけを読んで検証する:本文を書く前に、目次だけを通して読み、話がつながるかを確認します。

この手順で作った章立ては、本文を書き始めてから崩れることがあります。書きながら見えてきた内容に合わせて、目次を作り直す前提で進めてください。

具体例:採用ブランディングの本の場合

たとえば「求める人物像に伝わる会社の本を作りたい」というテーマだったとします。読者(候補者)が抱く疑問は「この会社で何ができるのか」「働く人はどんな人か」「将来性はあるか」「入社後にどう育つか」といったものです。これをグループにまとめると、事業内容・社員紹介・会社の将来像・成長機会という4つの塊になります。

並べる順番は、候補者が最初に気にする「何をしている会社か」を先に、次に「どんな人が働いているか」、そのあとに「将来性」「成長機会」という、総論から各論への流れにします。最後に「応募方法」の章を置けば、読み終えた候補者が次に取る行動まで示せます。

並べる順番の原則

原則 具体例
総論から各論へ 会社全体の考え方を先に示し、事業ごとの詳細はあとに置く
抽象から具体へ 理念や方針を先に、事例やエピソードはそのあとに置く
読者の疑問の順 読者が最初に持つ疑問から並べ、専門的な疑問は後半に置く
結論を早めに示す 「結局この会社は何をしている会社か」が分かる章を前半に置く

結論を最後の章まで隠す構成は避けてください。読者は最後まで読む前提でいないため、序盤で「この本は何の役に立つか」が伝わらないと、途中で読むのをやめてしまいます。

小説のように結末を隠す構成は、会社の本には向きません。会社の本は読者が目的を持って手に取るものであり、驚かせることよりも、知りたいことに早くたどり着けることのほうが評価されます。

章立てでつまずきやすい箇所

  • 章の粒度がバラバラになる:ある章だけ極端に長く、別の章は数ページしかない。テーマの分解が均等でないサインです。
  • 見出しが内容を表していない:抽象的な見出しでは、何が書いてあるか読者に伝わりません。
  • 「言いたい順」になっている:書き手が話したい順に並んでいて、読者が知りたい順になっていない。
  • 伏線を回収しない:前半で触れた話題が、後半で説明されないまま終わる。

このうち最も多いのが「言いたい順」と「読みたい順」のずれです。章立てを作ったら、自社の立場を忘れて、想定読者になったつもりで目次だけを読み返してみてください。

粒度のばらつきは、テーマの分解が甘いまま章立てを組んだときに起きやすい失敗です。1つの章に複数の疑問を詰め込んでしまうと、その章だけが長くなります。長くなった章は、含んでいる疑問の数だけさらに分割できないかを検討してください。逆に極端に短い章は、独立した章にするほどの内容がない可能性があるため、近い内容の章に統合できないかを検討します。各章の目安の文字数をあらかじめ決めておくと、粒度のばらつきに早い段階で気づけます。

章立ての見直し方

原稿を書き進めると、当初の章立てでは収まらない話や、逆に薄くなってしまう章が出てきます。全部を書き終えてから直すのではなく、2〜3章書いた時点で一度、目次全体を読み返す機会を作ることをおすすめします。

見直す際は、会社の本の推敲の観点で扱っている「見出しと中身の対応」のチェックも合わせて行うと、章立てと本文の両方のずれを一度に見つけられます。

見直しのタイミングを逃すと、全体を書き終えたあとに「この2章は内容が重複しているので統合したい」といった大きな組み替えが必要になり、書き直しの範囲が広がります。早い段階で目次を読み返す機会を作るほど、手直しの範囲は小さく済みます。見直す担当者は執筆者本人以外が加わると、読者に近い視点で違和感を指摘しやすくなります。

当社の場合

当社のAI書籍出版代行では、ヒアリングと企画設計の段階で、テーマから章立てまでを一緒に組み立てます。読者が最後まで読める順番になっているか、章の粒度がそろっているかといった検討は当社が担いますが、どの事業・エピソードを章に入れるかという材料選びは御社にご用意いただく部分です。費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)で、この企画設計の工程を含みます。

まとめ

  • 章立ては時系列型・課題解決型・テーマ別型・Q&A型など、目的に応じたパターンから選びます。
  • テーマを章に分解する手順は、メッセージの一文化→読者の疑問の洗い出し→グループ化→並べ替え→見出し付け→目次だけでの検証です。
  • 並べる順番は、総論から各論へ、抽象から具体へ、結論は早めに示す、という原則で決めます。
  • 章の粒度のばらつき、内容を表さない見出し、「言いたい順」になっている構成はつまずきやすい型です。
  • 章立ては一度作って終わりではなく、本文を書きながら見直す前提で進めてください。
  • 章立てを見直す際は、執筆者本人以外の視点を入れると、読者に近い目線で違和感やずれに気づきやすくなります。

テーマは決まっているが章立てで迷っている場合は、材料をお持ちいただければ一緒に組み立てます。

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