原稿を一通り書き終えたあと、「このままで良いのか分からない」という状態になることがあります。誤字脱字がないかは確認できても、話の展開が分かりやすいか、読み進めやすい文章になっているかは、書いた本人ほど判断しづらいものです。

推敲と校正は目的が違います。校正は原稿と印刷用データを照合して誤字・表記のずれを直す工程です。推敲は、文章そのものの読みやすさと、話の展開に矛盾や飛躍がないかを見直す工程です。この記事では、文章の読みやすさや話の展開の破綻を見つけるための、推敲時のチェック観点だけを扱います。

特にAIに下書きを書かせた原稿には、AI特有の崩れ方があります。人が最初から書いた原稿の推敲と同じ観点だけでは見落とす箇所があるため、その点も含めて整理します。

この記事で分かること:

  • 一文単位・段落単位・章単位という3つの層での推敲チェック観点
  • AIが書いた原稿に出やすい崩れ方とその見つけ方
  • 実際に読み直すときの手順と工夫

推敲で見るものと、校正・ファクトチェックとの違い

推敲は「読みやすさ」と「話の通りやすさ」を見る工程です。似た言葉に校正・ファクトチェックがありますが、見ている対象が違います。

工程 見ているもの
推敲 文章の読みやすさ、話の展開の分かりやすさ
校正 原稿と印刷用データの誤字・表記のずれ
ファクトチェック 書かれている事実・数字が正しいか

本記事は推敲だけを扱います。誤字や数字の正確さの確認は、別の工程で行ってください。

一文単位でチェックする観点(読みやすさ)

  • 一文の長さ:読点でつなぎ続けていないか。一文一義になっているか。
  • 主語と述語の対応:主語と述語が離れすぎていないか、文の途中で主語が変わっていないか。
  • 修飾語の位置:修飾する語のすぐ前に置かれているか。離れていると誤読の原因になります。
  • 二重否定・遠回しな言い方:肯定形で言い換えられないか。

この層は、一文ずつ声に出して読むと不具合に気づきやすい層です。読み方の工夫は後述します。

一文単位の直し方の例

たとえば「当社は創業以来、AIを活用した執筆支援と編集の両面から企業出版を支えてきましたが、単に原稿を作るだけでなく読者にとって読みやすい構成にすることも重視しており、そのために推敲の工程を独自に設けています」という一文があったとします。

これは一文の中に「支えてきた」「重視している」「設けている」という3つの内容が詰め込まれています。次のように分けると、一文一義に近づきます。

「当社は創業以来、AIを活用した執筆支援と編集の両面から企業出版を支えてきました。原稿を作るだけでなく、読者にとって読みやすい構成にすることも重視しています。そのために、推敲の工程を独自に設けています。」

長い一文を見つけたら、まず読点で区切られた塊がいくつあるかを数えてください。3つ以上あれば、文を分割できないか検討します。

段落単位でチェックする観点(論理のつながり)

  • 一段落一メッセージ:1つの段落に複数の主張を詰め込んでいないか。
  • 接続詞の妥当性:逆接の内容なのに「そして」でつないでいないか。
  • 前の段落との受け渡し:前の段落の結論を受けて次の段落が始まっているか。
  • 同じ内容の言い換え:表現を変えただけで、同じ主張を繰り返していないか。

段落単位のずれは、1段落ずつ読んでいると気づきにくく、前後の段落を並べて読み比べると見つかりやすくなります。

たとえば「当社のサービスには〇〇という特徴があります。しかし、△△という利点もあります。」という並びは、逆接の「しかし」が使われていますが、前後の内容はどちらも利点で対立していません。この場合は「しかも」「さらに」に直すか、対立する内容を挙げてから「しかし」でつなぐ必要があります。接続詞を機械的に見直すだけでも、論理の破綻の多くは見つけられます。

章・全体構成でチェックする観点(話の破綻)

  • 見出しと中身が一致しているか。見出しから想像する内容と、実際の内容がずれていないか。
  • 冒頭で示した結論と、本文中の主張が食い違っていないか。
  • 前の章で触れた話が、後の章で回収されずに終わっていないか。
  • 章の順番を入れ替えても違和感がないなら、その順番である理由が弱い可能性があります。

たとえば、冒頭で「当社のAI書籍出版代行は費用を抑えて出版できる方法です」と述べておきながら、後半の章で価格の話に触れないまま終わる本は、冒頭の主張が本文で裏付けられていない状態です。冒頭で掲げた主張ごとに、それを説明する章が本文のどこかにあるかを、目次を見ながら確認してください。

AIが書いた原稿に出やすい崩れ方

AIに下書きを書かせた原稿には、人が最初から書く原稿とは違う崩れ方が現れます。通しで読まないと気づきにくいという特徴があるため、意識して確認してください。

崩れの型 具体的な現れ方
同じ話の言い換え 章をまたいで似た主張を、表現だけ変えて繰り返す
根拠のない一般化 「多くの企業が」「一般的に」で始まり、具体例が続かない
唐突な話題転換 前の文とのつながりを示す語がないまま次の話に移る
結論の先送り 「〜については後述します」が積み重なり、最後まで説明されない

こうした崩れは章ごとに区切って読んでいると見逃しやすいため、最終段階では必ず通しで読む工程を入れてください。特に「同じ話の言い換え」は、章ごとに別の担当者が確認していると気づかれないまま残ることが多い崩れ方です。目次を並べて、各章の要点を1行にまとめてみると、内容が重複している章の組み合わせが見えてきます。「結論の先送り」も同様で、複数の章にまたがるため、章単位のチェックだけでは発見できません。

実際の読み直し方の工夫

  1. 声に出して読む(音読):目で追うだけでは気づかない、リズムの悪さや長すぎる文に気づきやすくなります。
  2. 見出しだけを拾い読みする:目次と見出しだけを並べて読み、話の流れが通じるかを確認します。
  3. 各段落を一文で要約してみる:要約できない段落は、メッセージが1つに絞れていない可能性があります。
  4. 時間を空けて読み直す:書いた直後は自分の意図が分かっているため、粗に気づきにくくなります。1日以上空けて読み直すと、他人が書いた文章のように距離を置いて読めます。

当社の場合

当社のAI書籍出版代行では、AIによる執筆のあとにプロ編集者が品質確認を行い、この記事で挙げた一文単位・段落単位・章単位という3つの層の観点を含めて、読みやすさと話の展開を確認します。ただし、御社の業界特有の言い回しが自然かどうか、社内でしか通じない前提が入っていないかは、御社でのご確認をお願いしています。費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)で、この品質確認の工程も含まれます。

推敲を自分たちでどこまでやるべきか迷ったら、AI原稿の執筆後に使うセルフレビューチェックリストの作り方の基本もあわせてご覧ください。章立てそのものを見直したい場合は会社の本の目次・章立ての作り方を、AIによる執筆全体の流れはAIで企業出版するには?を参考にしてください。

まとめ

  • 推敲は読みやすさと話の展開を見る工程で、校正やファクトチェックとは目的が異なります。
  • 一文単位では長さと主語述語の対応、段落単位では接続詞と一段落一メッセージを確認します。
  • 章単位では見出しと中身の一致、伏線の回収、結論との整合を確認します。
  • AIが書いた原稿は、同じ話の言い換えや根拠のない一般化、唐突な話題転換が起きやすい部分です。
  • 通しで読む・音読する・見出しだけ拾い読みするといった方法で、書いた直後には気づきにくい崩れを見つけられます。

原稿の読みやすさに不安がある場合は、どこを見直せばよいかを一緒に整理します。

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