「Kindleで本を出せば収益が入る」とは聞いても、その中身を分解して説明できる人は多くありません。販売後の収益に関わる言葉は、印刷コスト・ロイヤリティ・外部流通の3つです。 それぞれが指すものを混同すると、想定していた金額と実際の振込額がずれて見えることがあります。
本記事では、この3つの用語がそれぞれ何を意味し、販売後の収益にどう関わるかを、電子書籍とペーパーバックに分けて整理します。
この記事で分かること:
- 印刷コスト・ロイヤリティ・外部流通、それぞれが指すもの
- 電子書籍とペーパーバックで収益の計算式が違う理由
- 外部流通が使えないことで収益に何が起きるか
3つの用語の関係
まず全体の位置づけを整理します。
| 用語 | 何を指すか | 収益への影響 |
|---|---|---|
| 印刷コスト | 紙の本を1冊刷るのにかかる実費 | ペーパーバックのロイヤリティから差し引かれる |
| ロイヤリティ | 販売価格から著者に支払われる金額 | 電子書籍とペーパーバックで計算式が違う |
| 外部流通 | Amazon以外の販路に本を届ける仕組み | 対象外の言語・地域では収益機会が広がらない |
印刷コストは電子書籍には発生しません。 データを配信するだけなので、印刷という工程自体がないためです。一方、外部流通は電子書籍にもペーパーバックにも直接の売上を生む仕組みではなく、「置いてもらえる場所」を広げる仕組みという点も、収益を考えるうえで押さえておく必要があります。
電子書籍のロイヤリティ
電子書籍のロイヤリティは、35%と70%のどちらにするかを本ごとに選べます。70%を選ぶには、その電子書籍をKDPセレクトに登録する必要があります。
| ロイヤリティ率 | Amazon.co.jpでの希望小売価格の範囲 |
|---|---|
| 70% | 250〜1,650円 |
| 35% | 99〜20,000円 |
70%を選ぶ場合、配信コストが差し引かれます。ロイヤリティは税抜(VAT抜き)の希望小売価格に対して計算されます。KDPセレクトに登録すると、登録期間中はKindle本をKDPと公共図書館以外では販売できなくなる点も、価格設定とあわせて理解しておく必要があります。KDPセレクトの独占はデジタル形式の電子書籍のみが対象で、紙の本や音声版は対象外です。Kindle出版の手順全体はAIで書くkindle出版で解説しています。
ペーパーバックのロイヤリティと印刷コスト
紙の本であるペーパーバックは、計算の考え方が電子書籍と異なります。
(ロイヤリティ率 × 希望小売価格)− 印刷コスト = ロイヤリティ
ロイヤリティ率は、Amazon.co.jpでの希望小売価格が999円以下なら50%、1,000円以上なら60%です。ここから、ページ数に応じた印刷コストが差し引かれます。
| ページ数 | 印刷コスト(モノクロ・白/クリーム色の用紙) |
|---|---|
| 24〜110ページ | 1冊あたり422円 |
| 110〜828ページ | 1冊あたり206円 + 1ページあたり2円 |
たとえば200ページ・定価1,500円の場合、印刷コストは206円+2円×200ページ=606円。ロイヤリティは0.6×1,500円−606円=294円です。ページ数が多い本や価格を低く抑えた本は、印刷コストが差し引かれた後の手取りが少なくなります。 価格を決める前に、想定するページ数でロイヤリティがいくら残るかを一度計算しておくと、あとから「思ったより残らない」という状態を避けられます。印刷コストとロイヤリティの詳しい前提は会社の本を紙でも出すにもまとめています。
なお、KDPのペーパーバックは注文が入るたびに印刷されるため、前払いの印刷費や在庫は発生しません。印刷コストは、あくまで売上が発生した1冊ごとに差し引かれる実費です。
外部流通が収益に及ぼす影響
外部流通(Expanded Distribution)は、Amazon以外の書店・オンライン小売・図書館へ本を届ける仕組みです。ただし提供されているのは米国と英国の市場に限られています。
ヘブライ語・イディッシュ語および日本語で出版されたペーパーバックは、外部流通に登録できません。 つまり、日本語で会社の本をペーパーバックとして出版する場合、この仕組みを使って海外の書店に置いてもらう、という収益拡大のルートは想定できません。日本語の本の販路は、基本的にAmazon経由に限られると考えて計画してください。書店流通の全体像はISBNと書店流通の基礎で解説しています。
収益を左右する判断の分かれ目
| 判断 | 収益への影響 |
|---|---|
| 電子書籍を70%ロイヤリティにするか | KDPセレクト登録が条件。登録期間中は独占販売になる |
| ペーパーバックの価格を999円以下にするか、1,000円以上にするか | ロイヤリティ率が50%か60%かに分かれる境目 |
| ページ数を増やすか | 印刷コストが上がり、同じ価格でも手取りが減る |
価格を1,000円以上にすればロイヤリティ率は上がりますが、読者が受け取る価格も上がります。 どちらを優先するかは、部数を増やしたいのか、1冊あたりの収益を確保したいのかという目的次第です。
当社が引き受ける範囲
当社のAI書籍出版代行では、Amazon KDPへの入稿代行までを対応範囲としています。80万円〜(税抜・表紙デザインを含む) の中に、価格設定のご相談も含まれます。
一方で、KDPのアカウントは御社名義で開設していただき、販売開始後のロイヤリティは御社の口座に直接支払われます。当社が収益を代理受領したり、精算したりすることはありません。 価格変更や販売状況の確認も、出版後は御社のアカウントで行っていただく運用です。
まとめ
- 印刷コストは紙の本だけにかかる実費で、電子書籍には発生しません。
- 電子書籍のロイヤリティは35%か70%を選べ、70%にはKDPセレクトへの登録が必要です。
- ペーパーバックのロイヤリティは(率×定価)−印刷コストで計算し、率は999円以下で50%、1,000円以上で60%です。
- 外部流通は米国・英国向けの仕組みで、日本語のペーパーバックは登録できません。
- ロイヤリティはAmazonから御社へ直接支払われ、当社が収益を仲介することはありません。
価格設定や販売後の収益の見込みは、判型・ページ数と合わせてご相談いただけます。
参考情報
- Amazon KDP 電子書籍のロイヤリティ(2026-09-19確認)— ロイヤリティは35%と70%から選択。70%ではKDPセレクトへの登録が必要で、配信コストが差し引かれる。
- Amazon KDP 希望小売価格の要件(2026-09-19確認)— Amazon.co.jpの希望小売価格は70%が250〜1,650円、35%が99〜20,000円。
- Amazon KDP KDPセレクト(2026-09-19確認)— 登録期間は90日間。独占はデジタル形式の電子書籍のみが対象で、紙の本や音声版は対象外。
- Amazon KDP ペーパーバックの印刷コスト(2026-09-19確認)— モノクロ印刷(白/クリーム色の用紙)は24〜110ページで1冊422円、110〜828ページで1冊206円+1ページ2円。
- Amazon KDP ペーパーバックのロイヤリティ(2026-09-19確認)— (ロイヤリティ率×希望小売価格)−印刷コスト=ロイヤリティ。率は999円以下で50%、1,000円以上で60%。
- Amazon KDP 外部流通(2026-09-19確認)— 外部流通は米国と英国の市場で提供。ヘブライ語・イディッシュ語および日本語で出版されたペーパーバックは登録できない。
※仕様・料金は改定されることがあります。実際のご検討にあたっては公式ヘルプで最新の内容をご確認ください。