「帯」「見返し」「扉」という言葉を聞いても、本のどこを指すのか、表紙とどう違うのかは、制作に関わって初めて分かることが多いものです。打ち合わせで急に出てくると、確認のために話が止まってしまうこともあります。
これらは印刷・製本の現場で使われる部位名称で、それぞれ役割が違います。会社の本を作る際は、どの部位が必須で、どの部位がAmazon KDPのペーパーバックでは扱いが変わるかを知っておくと、打ち合わせがスムーズになります。 本記事では、表紙以外の各部名称を位置関係から整理します。
この記事で分かること:
- 帯・見返し・扉・奥付・背表紙が、それぞれ本のどこにあり何のためにあるか
- Amazon KDPのペーパーバックで扱いが変わる部位
- 背表紙に文字を入れられる条件
本の部位の全体像
本を開く順番に沿って、各部位を並べます。
| 部位 | 位置 | 役割 |
|---|---|---|
| 表紙(カバー) | 一番外側 | 書名・著者名を示し、手に取ってもらう |
| 帯 | 表紙の下部に巻く紙 | 訴求コピー・推薦文などを載せる |
| 見返し | 表紙の裏と本文の間 | 表紙の厚紙と本文をつなぐ紙(上製本) |
| 扉 | 本文の最初 | 書名・著者名だけを示すページ |
| 本文 | 中心部分 | 本の中身 |
| 奥付 | 本文の最後 | 発行者・発行日・ISBN等の情報 |
| 背表紙 | 本の綴じ側の側面 | 書棚に並んだときに見える面 |
これらの呼び方を知っておくと、表紙デザインや組版の相談をするときの意思疎通がスムーズになります。特に背表紙とノドの余白は、原稿のレイアウトを詰める段階で繰り返し出てくる言葉です。以下、それぞれを詳しく見ていきます。
帯:表紙に巻く販促用の紙
帯は、表紙の下側3分の1程度に巻かれる、取り外し可能な細長い紙です。書名や著者名とは別に、キャッチコピーや推薦文、対象読者を示す短い文章を載せる場所として使われます。
書店で新刊が並ぶとき、帯の文言が目に入ることで手に取るきっかけになる、という役割を担っています。表紙のデザインを変えずに、帯だけを差し替えて訴求内容を変えるという運用も、まとまった部数を刷る場合には可能です。
一方、Amazon KDPのペーパーバックは注文が入るたびに印刷される仕組みで、表紙データは裏表紙・背表紙・表表紙を1枚にまとめたPDFとして入稿します。 後から帯を巻く工程は想定されていないため、帯を使いたい場合は、表紙デザインの中に帯のような色帯・コピーを描き込む形で表現することになります。
見返し:上製本に多い構造
見返しは、表紙の厚紙(芯材)と本文用紙をつなぐために使われる紙です。片面は表紙の裏に貼り付き、もう片面は本文の最初のページとしてめくれます。主にハードカバー(上製本)で使われる構造で、表紙と本文を物理的に固定する役割を持っています。
Amazon KDPのペーパーバックは、表紙と本文を糊で接着する並製本(ペーパーバック製本)のため、見返しに相当する独立したページは通常入りません。会社の本を紙で出す方法については会社の本を紙でも出すで、判型や印刷コストとあわせて解説しています。
扉:書名だけを示すページ
扉は、本文が始まる直前に置かれる、書名・著者名(場合によっては発行者名)だけを載せたページです。表紙をめくってすぐに雑誌のような広告や目次が始まるのではなく、「ここから本文が始まる」ことを示す区切りとして機能します。
法律上の義務があるわけではなく、慣習的に置かれてきた構成です。省略しても出版自体はできますが、書籍らしい体裁を整える意味で、当社では基本の構成として扉を含めてご提案しています。
奥付:発行に関する情報をまとめたページ
奥付は、本文の最後に置かれる、発行者・発行日・版数・ISBNなどの情報をまとめたページです。書誌情報が集約される場所と考えると分かりやすく、図書館や書店が本を特定する際にも参照されます。書誌情報とメタデータの違いは書誌情報とメタデータが、書店や検索に本の情報を届ける仕組みで詳しく整理しています。
背表紙:書棚で見える面
背表紙は、本を綴じている側の側面で、書棚に並べたときに見える部分です。書名・著者名を縦または横に配置するのが一般的ですが、入れられるかどうかはページ数によって決まります。
Amazon KDPのペーパーバック表紙データでは、背表紙に文字を入れられるのは79ページを超える本だけとされています。背の端から1.6mm以上の余白も必要です。背幅の計算式は、白の用紙ならページ数×0.0572mm、クリーム色の用紙ならページ数×0.0635mmです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 背文字が入れられるページ数 | 79ページ超 |
| 背の端からの余白 | 1.6mm以上 |
| 背幅(白用紙) | ページ数 × 0.0572mm |
| 背幅(クリーム用紙) | ページ数 × 0.0635mm |
背幅はページ数が確定しないと計算できません。 そのため表紙デザインは、本文の組版が終わってから確定させる順序になります。表紙全体の要件は会社の本の表紙デザインにまとめています。
表1・表2・表3・表4:表紙を4つの面で数える言い方
印刷・製本の現場では、表紙を1枚の紙として扱うのではなく、4つの面に分けて呼びます。表からめくる順に、表1(表紙の外側)、表2(表紙の内側)、表3(裏表紙の内側)、表4(裏表紙の外側)です。
書店で本を手に取ったときに見えるのは表1、価格やバーコードが印刷されるのは表4です。Amazon KDPのペーパーバックでは、表1・背表紙・表4を1枚のPDFにまとめて入稿する仕組みのため、表2・表3にあたる面は独立した用紙ではなく、本文側の最初と最後のページとして扱われます。
天・地・小口・ノド:断裁でできる縁の呼び方
本を閉じた状態で見える4つの縁にも、それぞれ名前があります。天は本の上側、地は下側、小口は表紙が開く側の縁、ノドは綴じ側の縁です。
ノドは綴じ込みの分だけ本文が沈み込むため、図表や文章をノドぎりぎりまで配置すると読みにくくなります。組版の際は、ノド側に一定の余白を確保するのが基本です。天・地・小口は化粧断ち(仕上がりサイズに断裁する工程)で整えられる面で、断裁の位置は完全に一定ではないため、原稿の外側には余白を確保したうえで入稿します。
当社の対応範囲
当社のAI書籍出版代行では、扉・奥付を含む基本構成の設計と、背幅計算を反映した表紙デザインまでを担当します。費用は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**です。
帯を使うかどうか、見返しに相当する装丁を検討するかどうかは、紙の仕様に関わる部分のため、ご要望があれば個別にご相談ください。
まとめ
- 帯は表紙に巻く販促用の紙で、KDPのペーパーバックでは表紙デザインに描き込む形で表現します。
- 見返しは表紙と本文をつなぐ紙で、主に上製本の構造です。KDPの並製本には通常入りません。
- 扉は本文の直前に置かれ、書名だけを示す区切りのページです。
- 奥付は本文の最後にまとめられる発行情報のページで、書誌情報が集約されます。
- 背表紙に文字を入れられるのは79ページを超える本だけで、背幅はページ数から計算します。
各部位をどこまで含めるか、原稿の分量から一緒に整理できます。
参考情報
- Amazon KDP ペーパーバックの表紙の作成(2026-09-19確認)— 表紙データは裏表紙・背表紙・表表紙を1つの画像にまとめたPDF。背表紙に文字を入れられるのは79ページを超える本のみで、背の端から1.6mm以上の余白が必要。背幅は白の用紙でページ数×0.0572mm、クリーム色の用紙でページ数×0.0635mm。