Kindle出版の手順を調べ始めると、説明文の中に「KDP」「KDPセレクト」「ASIN」という言葉が説明なしで出てきます。どれもAmazonの用語で、意味を知らないまま読み進めると、どの設定が自社にとって重要なのか判断できません。

3つの言葉は、それぞれ別のものを指しています。KDPは出版する場所、KDPセレクトは登録するかどうかを選ぶオプション、ASINは出版した結果として自動的に割り当てられる番号です。 この記事では、意味だけでなく、それぞれが会社の出版判断にどう関わるかを整理します。

この記事で分かること:

  • KDP・KDPセレクト・ASINがそれぞれ何を指すか
  • KDPセレクトに登録すると何ができて、何ができなくなるか
  • ASINとISBNは何が違うのか

3つの言葉の関係

まず全体像です。

用語 指すもの 会社側の関わり方
KDP Amazonが提供する出版プラットフォームそのもの 出版するかどうかを決める
KDPセレクト KDPの中の任意のオプション登録 登録するかどうかを選ぶ
ASIN Amazonが商品ごとに割り当てる識別番号 出版すると自動的に付与される

KDPは「場所」、KDPセレクトは「選択」、ASINは「結果」と覚えると整理しやすくなります。順番に見ていきます。

KDPとは何か

KDPはAmazonが提供する出版プラットフォームで、電子書籍とペーパーバック(紙の本)の両方を扱えます。日本語は電子書籍とペーパーバックの両方に対応しています。

電子書籍のロイヤリティは、本ごとに35%か70%かを選べます。ここで初めてKDPセレクトが関わってきます。日本の読者への販売で70%を選ぶには、その電子書籍をKDPセレクトに登録する必要があります。

KDPセレクトという任意の登録

KDPセレクトは、電子書籍ごとに登録するかどうかを選べるオプションです。登録期間は90日間です。

独占の範囲を勘違いしやすい点

KDPセレクトに登録すると、その本を「他の販路で販売・配布できなくなる」という制約を受けます。ここで誤解が起きやすいのは、独占の範囲です。

独占の対象はデジタル形式の電子書籍だけです。 紙の本、音声版、動画などは、KDPセレクトに登録していても他の販路で販売を続けられます。「Kindleで独占にすると紙の本も他で売れなくなる」と考えて登録をためらう相談を受けますが、これは思い込みです。

一方で見落としやすいのが、他の電子書店に同じ内容、または実質的に同様の内容をすでに出していないかという点です。KDPセレクトは、権利を保有する地域でデジタル形式の同一・同様のコンテンツを他の販路から出すことを認めていません。登録前に、社内の別部署が別の電子書店に同じ原稿を出していないか確認しておく必要があります。

登録の判断が分かれるところ

KDPセレクトの特典には、Kindle Countdown Deals・無料キャンペーンの実施権、そして70%ロイヤリティの権利が含まれます。開始から3日以内なら取り消せます。

選ぶなら 判断の目安
KDPセレクトに登録する 電子書籍はAmazonだけで売る方針。70%ロイヤリティやキャンペーン機能を使いたい
登録しない 楽天Koboなど他の電子書店にも同時に出したい。35%ロイヤリティで十分

会社として複数の電子書店に展開する計画があるかどうかで、登録の判断が分かれます。楽天Koboやhontoなど他社プラットフォームの手数料や条件は、事業者によって異なるため、公式情報で確認してください。

価格帯にも条件がある

ロイヤリティの選択には、価格帯の条件も付いてきます。Amazon.co.jpでの希望小売価格の範囲は、70%が250〜1,650円、35%が99〜20,000円です。

つまり、専門書や図解が多い本など、単価を高く設定したい本では、そもそも70%の価格帯の上限を超えてしまい、選べるのは35%だけになります。KDPセレクトに登録する動機になる70%ロイヤリティは、価格が1,650円以下の本でなければ成立しません。 想定する定価を決める段階で、この価格帯を確認しておくと、あとから選択肢がなかったと気づく事態を避けられます。

ASINとは何か

ASINは、Amazonが商品ごとに割り当てる識別番号です。書籍に限らず、Amazonで扱うほぼすべての商品に付きます。KDPで出版すると、出版の時点でAmazonから自動的に割り当てられます。 自分で決めることも、あとから変更することもできません。

ASINとISBNの違いでつまずきやすい点

ASINとISBNは別の仕組みです。ISBNは出版業界全体で通用する書誌コードで、ISBNを取得していなくてもKDPの電子書籍には無料のISBNが割り当てられ、ASINも別に付与されます。つまり1冊の本にASINとISBNの両方が付くことがあります。

自社でISBNを取得する場合は、ISBN登録時の書名・著者名・出版社名とKDPに入力する情報を一致させる必要があります。一致しないと出版できません。ASIN自体はこの一致確認の対象外で、出版が完了した結果として自動的に発行されます。自社ISBNとKDPの無料ISBNのどちらを使うべきかは、自社でISBNを取るか、KDPの無料ISBNで済ませるか、流通範囲で選ぶで詳しく比較しています。

当社の対応範囲

当社はAmazon KDPへの入稿代行を行いますが、KDPセレクトに登録するかどうかという経営判断は御社にお願いしています。 当社が担当するのは、登録した場合と登録しない場合でそれぞれ何が制約されるかを整理し、御社の販売方針に合わせて設定作業を代行するところまでです。

Kindle出版全体の手順はAIで書くkindle出版|法人が会社の本をAmazonで出版する手順、書店流通との関係はISBNと書店流通の基礎|会社の本が「どこで買えるか」を決める仕組みにまとめています。費用の詳細はこちらからご覧いただけます。

まとめ

  • KDPは出版プラットフォーム、KDPセレクトは任意のオプション、ASINは出版結果として付く識別番号です。
  • KDPセレクトの独占はデジタル形式の電子書籍だけが対象で、紙・音声・動画は制約を受けません。
  • 日本の読者向けに70%ロイヤリティを選ぶには、KDPセレクトへの登録が必要です。
  • 登録は開始から3日以内なら取り消せますが、それ以降は90日間続きます。
  • ASINは自動付与される番号で、自社ISBNを取得してもASINとは別に管理されます。

どの設定を選ぶべきか、御社の販売方針から一緒に整理します。

AI書籍出版代行に相談する

参考情報