会社の本を出版すると決めた段階で、多くの担当者が迷うのが「ISBNは自分で取るべきか、KDPが用意する無料のISBNで済ませてよいか」という点です。費用だけで比べると無料のほうが有利に見えますが、判断すべき軸は費用だけではありません。

流通範囲、出版社としての表示、そして出版後に変更できるかどうか。この3つの軸で見ると、どちらを選ぶべきかがはっきりします。この記事では、この2つの選択肢を具体的に比較します。

この記事で分かること:

  • 自社ISBNとKDPの無料ISBN、流通範囲・著者表示・費用の違い
  • 自社ISBNを取得しても書店に並ぶわけではない理由
  • 表記のずれで出版がブロックされる失敗パターン

2つの選択肢の全体像

まず全体を比較します。

項目 自社ISBN KDPの無料ISBN
利用できる範囲 KDP以外の出版・流通でも使える KDPでのみ利用できる
出版社の表示 自社名で登録した内容が表示される 「個人出版」と表示される
出版後の変更 可能(ただし登録情報の変更手続きが必要) 出版後に変更できない
費用 新規登録料が発生(発行点数により異なる) 無料
対象条件 特になし コンテンツが少ない本は対象外

この表の中で見落とされがちなのが「利用できる範囲」の意味です。 次の章で詳しく見ます。

「自社ISBNを取れば書店に並ぶ」という誤解

自社ISBNを取得する目的として、「書店流通のため」と考えている担当者が少なくありません。ですが、自社ISBNを取得してKDPで出版しただけでは、書店には並びません。

KDPには「外部流通」という、Amazon以外の書店・オンライン小売・図書館に本を届ける仕組みがあります。ただし、この仕組みが提供されているのは米国と英国の市場に限られます。日本語で出版されたペーパーバックは、外部流通に登録できません。

つまり、自社ISBNを取得するかどうかと、日本の書店に並ぶかどうかは、別の話です。書店流通を実現したい場合は、書店流通を含む企業出版のプランを別に検討する必要があります。詳しくはISBNと書店流通の基礎|会社の本が「どこで買えるか」を決める仕組み企業出版サービスの比較と選び方|対応範囲・費用・権利を確認するをご覧ください。

では、自社ISBNを取る意味は何かというと、主に出版社としての表示と、他プラットフォームでの再利用性です。 ここを目的に据えて判断すると、迷いが減ります。

出版社としての表示の違い

KDPの無料ISBNを使うと、出版社の表示は自動的に「個人出版」になります。 会社として出版したことを対外的に示したい場合、この表示は意図と合わないことがあります。

自社ISBNを取得すれば、登録した会社名がそのまま出版社として表示されます。ただし条件があります。ISBN登録時に届け出た書名・著者名・出版社名と、KDPに入力する情報が一致している必要があります。 一致しないと出版できません。

表記のずれで出版が止まる失敗パターン

ここでよく起きる失敗が、社名表記のずれです。 「株式会社」を前に付けるか後ろに付けるか、英語表記のスペル、部署名の有無。ISBN登録・KDP入稿・奥付の3か所で表記が食い違うと、出版の直前になって登録をやり直す事態になります。自社ISBNを取得すると決めたら、最初に表記の基準を1つに決めて、すべての手続きで使い回すことをお勧めします。奥付の記載項目については奥付に何を書くか|発行者・発行日・ISBNなど記載事項の基礎知識にまとめています。

費用の違い

KDPの無料ISBNは費用がかかりません。一方、自社ISBNは日本図書コード管理センターへの新規登録料が発生します。

出版者記号の桁数 発行できる点数 新規登録の料金
8桁(シングルコード) 1点 11,000円+税
7桁 10点 22,000円+税
6桁 100点 40,320円+税

登録は3年ごとの更新制です。今後何点の本を出す予定があるかによって、選ぶべき桁数も変わります。1点だけの予定なら8桁のシングルコードで足りますが、複数の本を継続的に出す計画があるなら、7桁・6桁のほうが1点あたりの費用は下がります。最新の金額は必ず公式の料金表で確認してください。 改定される可能性があります。

なお、KDPの無料ISBNには「コンテンツが少ない本は対象外」という条件があります。該当するかどうかは、KDPでの出版手続きの中で確認してください。

判断の分かれ目

ここまでの内容を、判断基準としてまとめます。

  • Amazon限定で、当面1点だけ出版する → KDPの無料ISBNで十分です。費用もかからず、手続きも簡単です。
  • 会社名を出版社として明確に表示したい → 自社ISBNの取得を検討してください。
  • 今後も継続的に複数の本を出す計画がある → 自社ISBNを取得し、点数に応じた桁数を選ぶと1点あたりの費用を抑えられます。
  • 書店流通を実現したい → 自社ISBNの有無にかかわらず、書店流通を含む別のプランが必要です。ISBNの選択とは別に検討してください。

当社の対応範囲

当社のAI書籍出版代行は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**で、Amazon KDPへの入稿代行を行います。自社ISBNを取得する場合、その登録料は当社の標準プランに含まれない実費です。 申請の手続き自体も、出版社となる御社にお願いしています。

当社が担当するのは、KDPの無料ISBNを使う場合の入稿代行と、自社ISBNを使う場合に登録情報とKDP入稿情報の表記を一致させる確認作業です。どちらを選ぶべきか迷う場合は、出版予定の点数や表示したい出版社名から一緒に整理します。

まとめ

  • KDPの無料ISBNは費用がかからない一方、KDPでのみ使え、出版後に変更できず、出版社は「個人出版」と表示されます。
  • 自社ISBNは登録料が発生しますが、他プラットフォームでも使え、自社名を出版社として表示できます。
  • 自社ISBNを取得しても、日本語ペーパーバックはKDPの外部流通の対象外のため、それだけでは書店に並びません。
  • ISBN登録・KDP入稿・奥付の3か所で社名の表記を統一しないと、出版がブロックされることがあります。
  • 出版予定の点数と、書店流通が必要かどうかで、選ぶべき選択肢が変わります。

御社の出版計画に合わせて、どちらが合うかを一緒に整理します。

AI書籍出版代行に相談する

参考情報

※料金は改定されることがあります。実際のご検討にあたっては、日本図書コード管理センターの公式サイトで最新の金額をご確認ください。