会社の本というと、新規開拓の営業ツールとして語られることが多くあります。しかしすでに取引のある既存顧客にこそ、本が効く場面があります。 新規顧客に対しては「なぜ選ぶべきか」を説得する必要がありますが、既存顧客はすでにその判断を終えています。既存顧客向けに本を使うなら、新規開拓向けとは逆の内容設計が必要です。

新規開拓用の本をそのまま既存顧客に渡しても、響かないことがあります。本記事では、新規開拓向けとの内容の違い、手渡すタイミングの設計、既存原稿を流用して工数を抑える方法を具体的に整理します。

この記事で分かること:

  • 新規開拓向けの本と既存顧客向けの本で、伝えるべき内容がどう逆になるか
  • 既存顧客に本を手渡す効果的なタイミング
  • 共通章と差分章に分けて工数を抑える構成の作り方

新規開拓向けの本と、既存顧客向けの本は伝えることが逆

新規開拓では、まだ取引のない相手に「なぜこの会社を選ぶべきか」を伝える必要があります。既存顧客はすでにその判断を終え、取引を続けている相手です。伝えるべき内容は逆になります。

項目 新規開拓向け 既存顧客向け
目的 選ぶ理由を説得する 関係の維持・深耕
中心となる内容 実績・強み・差別化 今後の方向性・普段話さない裏側
読者の前提 会社をまだ知らない すでに取引がある
響きやすい要素 分かりやすい成果 担当者も知らなかった一面
手渡すタイミング 商談・提案時 契約更新前・決算期・担当者交代時

「もう知っている」という前提があるからこそ、内容が薄いと逆効果になります。 新規開拓向けの営業活用全般は出版マーケティングとは?で扱っています。

「もう知っている」からこそ響く内容にする

既存顧客は、御社の商品やサービスの概要をすでに知っています。同じ説明を繰り返しても新鮮味がありません。効果的なのは、普段の営業や打ち合わせでは話さない裏側を書くことです。

  • 商品やサービスが生まれた開発の経緯、当初の失敗
  • 過去にあったクレームや課題への対応と、そこからの改善
  • 今後どの方向に事業を広げようとしているか
  • 現場の担当者が語らない、経営層の判断の背景

これらは、日々のやり取りをしている担当者同士では出てこない話です。「担当者も知らなかった一面」があると、既存顧客との会話のきっかけになります。

誰が読み、誰が決裁するのか

既存顧客との取引では、日々やり取りする窓口担当者と、契約更新や追加発注を決裁する部長・役員が別人であることがよくあります。窓口担当者が御社に良い印象を持っていても、決裁者は御社の姿勢や方向性をほとんど知らないまま、条件面だけで更新可否を判断してしまう場合があります。 本は、窓口担当者を経由して決裁者に直接情報を届ける役割も担えます。渡す際は、窓口担当者にだけでなく、決裁者の手元にも届くように部数と渡し方を考える必要があります。

書ける内容にも線引きがあります。

書ける内容 書かないほうがよい内容
会社の姿勢、今後の方向性、開発の裏側 個別の契約条件や値引き幅
業界全体の動向についての見解 他の顧客との金額・条件の比較
過去のクレーム対応から得た改善 特定の顧客案件の詳細(先方の許諾がない場合)

個別の契約条件や他社との比較は、既存顧客向けであっても書きません。 特定の顧客との関係が特定されうる内容は、事前に本人の確認を取る必要があります。

手渡すタイミングの設計

既存顧客向けの本は、渡すタイミングによって効果が変わります。

タイミング 狙い
契約更新前 関係を見直す機会に、あらためて会社の姿勢を伝える
決算期・年度替わり 節目のあいさつと合わせて手渡しやすい
担当者交代時 新しい担当者に会社の考え方を引き継ぐ材料になる
周年・大きな節目 記念として受け取ってもらいやすい

特に担当者交代時は効果的なタイミングです。 新しい担当者は御社との関係の歴史を知らないため、本が引き継ぎ資料としても機能します。

新規開拓用の本をそのまま使うと失敗する理由

新規開拓用の本には、実績や強みを説得的に伝える内容が多く含まれます。これをそのまま既存顧客に渡すと、「取引しているのに今さら実績をアピールされている」という違和感を持たれることがあります。既存顧客が知りたいのは「選ぶべき理由」ではなく「これからも付き合う価値があるか」です。渡す前に、内容が新規開拓向けのままになっていないか確認する必要があります。

もう一つの失敗は、渡した後のフォローがなく、読まれずに終わるパターンです。 既存顧客は日々の業務に追われており、送っただけでは後回しにされます。手渡す際に「この章は御社に関わる話です」と一言添える、次回の商談で感想を尋ねるなど、渡すこと自体を目的にしない工夫が必要です。

共通章と差分章で工数を抑える

新規開拓向けと既存顧客向けの内容には重なる部分もあります。会社概要や理念、商品の基本情報などは共通して使えます。この共通部分を「共通章」とし、既存顧客向けに追加したい内容だけを「差分章」として作ると、全面的に作り直すより工数を抑えられます。 全くの別冊子として一から作ると、取材・執筆の工数がおおよそ2倍近くに膨らむため、既存原稿がある場合はまず差分章の追加で足りるかを検討することをおすすめします。この考え方は、代理店向けに複数版を管理する場合とも共通しています。詳しくは代理店の担当者が使うことを前提にした本の作り方でも触れています。

手渡す部数をどう確保するか

既存顧客に配る部数は、対象となる顧客数によって変わります。Amazon KDPでは、著者用コピーとして印刷コストで注文でき、再販も無料配布もできます。 注文の都度印刷されるため、在庫を前もって抱える必要はありません。配布予定の顧客リストが固まった段階で、必要な部数だけ発注する運用ができます。判型や印刷コストの詳細は会社の本を紙でも出すにまとめています。

当社が担当する範囲、御社にお願いすること

当社のAI書籍出版代行は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**です。共通章を活かした差分章の構成設計、原稿の執筆、プロ編集者による品質確認、図表・表紙デザイン、Amazon KDPへの入稿代行、少部数の印刷・製本が含まれます。

一方、手渡す既存顧客の選定、手渡すタイミングの調整、実際に手渡す際の会話は御社にお願いしています。 顧客との関係性を持っているのは御社の営業担当者であり、当社が代行することはできません。

活用の場面はこちら費用の詳細はこちら

まとめ

  • 新規開拓は選ぶ理由の説得、既存顧客は関係の維持・深耕と、伝えるべき内容が逆になります。
  • 既存顧客には、普段の営業では話さない開発の裏側や今後の方向性が響きます。
  • 契約更新前・決算期・担当者交代時は、本を手渡す効果的なタイミングです。
  • 新規開拓用の本をそのまま渡すと、実績アピールが「今さら」と受け取られる失敗につながります。
  • 共通章と差分章に分ければ、全面的な作り直しより工数を抑えられます。

既存顧客にどの内容を追加すれば効果的か、現状の原稿を拝見しながらご提案します。

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