会社の本を出すこと自体には社内の異論がなくても、決裁が通らずに企画が止まることがあります。原因の多くは、内容の企画書はあっても、決裁者向けの企画書がないことです。

本の内容を考える企画と、社内の決裁者を説得する企画書は別物です。読者に向けた企画は「何を伝えるか」を決めますが、決裁者向けの企画書は「なぜ今この費用をかけるべきか」を説明する文書です。本記事では、後者の企画書と、承認後の進行を管理する表の作り方だけを扱います。

この記事で分かること:

  • 決裁者が確認する5つの論点と、それぞれの書き方
  • 費用対効果を誇張せずに書く方法
  • 承認後に使う進行管理表の作り方

内容の企画と、決裁の企画書は別物

本のテーマや構成を決める企画は会社の本のテーマの決め方で扱っています。決裁の企画書はこれとは別に、目的・費用・体制・スケジュール・リスクの5点を短くまとめた文書として用意してください。 内容を詳しく詰めるのは承認後で十分です。決裁前に内容を作り込みすぎると、承認されなかった場合の手戻りが大きくなります。

決裁者が確認する5つの論点

役員会や決裁者が見ているのは、次の5点にほぼ集約されます。

論点 書く内容
目的 何のために出すか(採用・営業・周年など活用場面を1つに絞る)
費用 総額と、含まれる範囲・含まれない範囲
体制 社内の誰が、どのくらいの時間を使うか
スケジュール いつまでに何を終える必要があるか
リスク・限界 保証できないこと、想定される遅延要因

目的を複数並べると論点がぼやけます。 「採用にも営業にも使える」という書き方より、「まず採用広報として使い、余力があれば営業資料にも展開する」のように主従をつけたほうが、決裁者は判断しやすくなります。活用場面の具体例は展示会ノベルティに「AIで書く会社の本」にも整理しています。

費用対効果の書き方

費用対効果は、決裁書の中で最も誤解を招きやすい項目です。成果の数字を約束する書き方は避けてください。 出版が保証するのは、資料としての信頼材料が手に入ることであり、売上増加や採用数の増加そのものではありません。

書き方 適否
「営業資料として、初回商談での説明時間を短縮する」 適(使い方の説明)
「導入企業のインタビューを載せ、検討中の顧客への裏付け資料にする」 適(使い方の説明)
「売上が◯%上がります」 不適(成果の断定)
「他社の企業出版より安く済みます」 不適(前提となる工程が異なり比較にならない)

当社のAI書籍出版代行の費用は**80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**です。含まれるのはヒアリング・企画設計、AIによる執筆とプロ編集者による品質確認、図表・表紙デザイン、Amazon KDPへの入稿代行、少部数の印刷・製本です。書店流通・書店営業・倉庫や在庫の管理は含みません。費用の内訳は企業出版の費用は何にかかる?で詳しく解説しています。

進行管理表の作り方

承認後は、企画書とは別に進行管理表を用意します。社内の決裁事項と、制作側とのやり取りの進捗を同じ表で混ぜないでください。 混在すると、誰が何を待っているのか分かりにくくなります。

内容
工程 企画確定、取材、初稿確認、校正、入稿など
社内担当 その工程で社内が判断・確認する担当者
期限 社内側が確認を返す締め切り
ステータス 未着手/確認中/完了
備考 遅延理由や、確認待ちの相手

社内担当が複数部署にまたがる場合(広報・法務・現場)の回し方は法務・広報・現場を回す社内チェック体制で扱っています。進行管理表の「社内担当」列は、このチェック体制と対応させておくと、後で表を作り直す必要がありません。

決裁が止まりやすい場面

社内承認でよく止まる場面には型があります。

つまずき所 原因 対処
「費用対効果が見えない」と差し戻される 活用場面が抽象的すぎる 場面を1つに絞り、具体的な使い方を書く
「他部署の意見も聞いてから」と保留される 事前に関係部署へ相談していない 決裁前に広報・人事など関係部署へ一声かけておく
「本当にAIで書けるのか」と懐疑的な反応が出る AI執筆の品質確認の仕組みが説明されていない プロ編集者による確認工程を明記する
決裁後に内容の変更要望が続出する 決裁時に内容の方向性を共有していなかった 章立ての概要だけでも決裁書に添付する

特に3つ目は、AI活用に不慣れな決裁者ほど出やすい反応です。 AIが書いた原稿をそのまま出すのではなく、プロの編集者が確認する工程があることを一文で明記しておくと、懐疑的な反応を減らせます。

いつ企画書を回すか

企画書は、取材の日程調整より前に回してください。決裁が下りる前に取材先へアポイントを打診すると、承認が得られなかった場合に取り消しの連絡が必要になります。 逆算すると、出版したい時期から、決裁にかかる期間(社内の会議体の頻度による)、制作期間、印刷・入稿の期間を差し引いた時点が、企画書を提出する目安の時期です。

稟議と会議決裁のどちらで通すか

社内の意思決定の仕組みは、書面での稟議と、会議での決裁のどちらか、または両方を使う会社があります。費用が一定額を超えると会議決裁が必須という社内規定がある会社は多く、事前にどちらのルートを通すべきかを総務・経理などの規定所管部署に確認しておくと、途中でルートを変える手戻りを防げます。

ルート 向くケース
書面稟議のみ 決裁者が少なく、金額が社内規定の範囲内
会議決裁 金額が一定額を超える、または複数部署の合意が必要

決裁書の分量と添付資料

決裁書は厚くするほど良いわけではありません。役員会や決裁者は多くの案件を短時間で確認するため、本文はA4で1〜2枚に収め、詳細は別添にする構成が読まれやすくなります。

資料 位置づけ
決裁書本文(目的・費用・体制・スケジュール・リスク) 必須。1〜2枚
費用の内訳(見積書の写しなど) 別添。求められたら提示できる形で用意
章立ての概要 別添。内容への懸念を減らす目的で添付
類似の活用場面の説明資料 任意。採用・営業など具体的な使い方が伝わる資料があれば添付

本文に費用の内訳まで詰め込むと、決裁者が本当に確認したい5つの論点が埋もれます。 内訳は別添に回し、本文では総額と含まれる範囲・含まれない範囲だけを示してください。

社内説明会を開くかどうかの判断

会議体での決裁とは別に、関係者向けの説明会を開くかどうかで迷う場合があります。決裁ルートに複数の役員が並列で関わる場合や、広報・人事など複数部署が制作に協力する場合は、説明会を開いたほうが後戻りが少なくなります。 逆に決裁者が単独、かつ協力部署が少ない場合は、決裁書だけで足ります。

状況 説明会の要否
決裁者が複数、かつ並列で確認する体制 開く。認識のズレを一度で揃えられる
決裁者が単独 決裁書のみで足りることが多い
広報・人事など複数部署が取材協力する 開く。協力を仰ぐ部署への説明を兼ねられる

当社の対応範囲

費用感や工程、含まれる範囲についての情報提供、企画書に転記できる形での資料提供は当社で対応します。社内の決裁ルートに合わせた文書の体裁づくりや、社内特有の判断基準への対応は御社にお願いしています。

まとめ

  • 内容の企画と、決裁者向けの企画書は別の文書として用意します。
  • 決裁者が見るのは目的・費用・体制・スケジュール・リスクの5点です。
  • 費用対効果は活用場面を具体的に書き、成果の数字は約束しません。
  • 進行管理表は社内の決裁事項と制作側の進捗を分けて管理します。
  • 企画書は取材先への打診より前に回し、決裁にかかる期間を逆算に含めます。

企画書に書く費用や工程の情報提供から対応できます。お気軽にご相談ください。

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