ISBNは本を識別する番号だと知っていても、本の裏表紙や奥付にある書籍JANコード・Cコード・日本十進分類法が何を表しているのかは、意外と整理されていません。似たような場所に並んでいるため同じ目的のコードだと思われがちですが、それぞれ分類する対象も、使う人も別物です。
結論から言うと、ISBNは「その本そのもの」を識別する番号、書籍JANコードは「その情報を機械で読み取れる形にしたバーコード」、Cコードと日本十進分類法は「本の内容や想定読者を分類するための仕組み」です。
この記事で分かること:
- ISBN・書籍JANコード・Cコード・日本十進分類法が、それぞれ何を分類・識別するものか
- 4つの違いを整理した一覧
- 自社で書籍を出版する際に、これらとどう関わるか
ISBNが識別するもの
ISBNは、「978-4(国・地域)-出版者記号-書名記号」という構成で表される、発行形態別・1書名ごとの固有の識別番号です。同じ内容の本でも、単行本と文庫本、紙と電子では別のISBNが必要になります。ISBN自体は、本の内容やジャンルを表す情報を含んでいません。「どの本か」を一意に示す番号という位置づけです。
書籍JANコードが表すもの
書籍JANコードは、日本図書コードの文字情報を2段のバーコードで表したものです。書店のレジでバーコードを読み取ると、その場でISBNなどの情報を機械的に処理できるようにする仕組みです。
一般に、日本図書コードはISBNに加えて、Cコードや本体価格といった情報を組み合わせたものとされています。書籍JANコードそのものが何かを新しく分類しているわけではなく、既存の情報をバーコードという形に変換したものと理解すると整理しやすくなります。
Cコードが分類するもの
Cコードは、日本の出版業界で使われている分類コードで、書店や取次が本を仕入れ・陳列する際の目安として使われます。想定する読者層や本の発行形態、内容のジャンルを表すとされていますが、区分の詳細な割り当ては変更されることがあり、当方では最新の割り当て表を確認できていません。 自社の本にどのCコードを付けるべきか判断する際は、Cコードを所管する団体の公式情報で最新の内容を確認してください。
日本十進分類法が分類するもの
日本十進分類法(NDC)は、多くの図書館が蔵書を主題別に分類し、棚に配架するために使っている分類法です。Cコードが主に書店・取次の流通の場面で使われるのに対し、NDCは図書館での整理・検索を主な目的としています。
具体的にどの区分番号がどのジャンルに対応するかという詳細な内容は、図書館関連団体の公式情報や、実際に本を所蔵する図書館の案内でご確認ください。目的の違う2つの分類コードがあるという点だけでも押さえておくと、混同を防げます。
4つの違いを一覧で整理する
| コード | 分類・識別する対象 | 主な利用場面 |
|---|---|---|
| ISBN | 発行形態ごとの、その本自体 | 書店・取次・出版社での書誌管理全般 |
| 書籍JANコード | 日本図書コードの情報(ISBN等)をバーコード化したもの | レジでの読み取り |
| Cコード | 想定読者・発行形態・内容ジャンルの目安 | 書店・取次での仕入れ・陳列判断 |
| 日本十進分類法(NDC) | 本の主題(ジャンル) | 図書館での整理・配架・検索 |
同じ「分類」という言葉でも、Cコードは流通の現場で、NDCは図書館の現場で使われるという違いがあります。どちらか一方だけを知っていても、もう一方の場面では通用しません。
自社で書籍を出版する際の関わり方
Amazon KDPで出版する場合、KDPが無料のISBNを提供しています。ただしこの無料ISBNはKDPでのみ利用でき、出版社の表示は「個人出版」となり、出版後に変更できません。自社名を出版者として登録したい場合は、日本図書コード管理センターで自分でISBNを取得する必要があります。KDPでの出版手順全体はAIで書くkindle出版にまとめています。
| 選択肢 | 出版社の表示 | 使える範囲 |
|---|---|---|
| KDPの無料ISBN | 「個人出版」と表示される | KDPでのみ利用可 |
| 自己取得のISBN(有料) | 自社名で登録できる | KDP以外でも使える前提で登録できる |
自己取得のISBNを使う場合、KDPに入力する書名・著者名・出版社名は、ISBN登録時の情報と一致している必要があります。 一致しないと出版できないため、登録時点で表記を揃えておいてください。ISBNと書店流通の関係はISBNと書店流通の基礎で詳しく解説しています。実費の内訳は企業出版の費用は何にかかる?もあわせてご覧ください。
自己取得のISBNには、出版者記号の登録料がかかります。日本図書コード管理センターが公開している料金表では、次のように発行できる点数ごとに金額が分かれています(最新の金額は必ず公式の料金表でご確認ください)。
| 出版者記号の桁数 | 発行できる点数 | 新規登録の料金 |
|---|---|---|
| 8桁(シングルコード) | 1点 | 11,000円+税 |
| 7桁 | 10点 | 22,000円+税 |
| 6桁 | 100点 | 40,320円+税 |
KDPの無料ISBNのように即日発行とはいかないため、自社名での刊行にこだわる場合は、原稿の完成を待たずに登録手続きを始めることをおすすめします。
判断を誤りやすい場面
- Amazon KDPだけで、電子書籍とペーパーバックを自社サイト経由で販売する場合、CコードやNDCの記載にこだわる必要は薄くなります。 書店の棚に並べる前提がなければ、この2つのコードが使われる場面自体が発生しにくいためです。
- 書店流通を担う出版社を通す場合は、Cコードの記載を求められることが一般的とされています。 ただし要否や運用の細かさは取次・出版社によって異なるため、書店流通を依頼する先に個別に確認してください。
- 「ISBNさえ取れば書店に並ぶ」と誤解しているケースも見られますが、ISBNは識別番号にすぎず、書店への流通経路とは別の話です。 流通の仕組みはISBNと書店流通の基礎を先に確認してください。
CコードやNDCは、KDPでの出版そのものには必須ではありません。書店流通や図書館への納本を視野に入れる場合に関わってくる情報ですので、その予定がある場合は早めに確認しておくと安心です。
まとめ
- ISBNは発行形態ごとの本そのものを識別する番号で、内容やジャンルの情報は含みません。
- 書籍JANコードは、日本図書コードの情報をバーコードの形に変換したものです。
- Cコードは書店・取次が仕入れや陳列の判断に使う分類コードで、詳細な区分は所管団体の最新情報で確認してください。
- 日本十進分類法(NDC)は図書館が蔵書を主題別に整理するための分類法で、Cコードとは使われる場面が異なります。
- KDPで出版する場合、無料ISBNは「個人出版」表示になるため、自社名を出版者にしたい場合は自分でISBNを取得します。
どのコードが自社の出版に関わってくるかは、書店流通や納本を予定しているかによって変わります。個別の状況からご相談いただけます。
※本記事は一般的な説明であり、個別の事案についての法的助言ではありません。
参考情報
- ISBNと書籍JANコードとは(2026-09-19確認)— ISBNは「978-4(国・地域)-出版者記号-書名記号」を表す発行形態別・1書名ごとの固有コード。日本図書コードの文字情報を2段のバーコードで表したものが書籍JANコード。
- Amazon KDP KDPの無料ISBNと独自のISBNのどちらを使用するべきですか?(2026-09-19確認)— KDPの無料ISBNはKDPでのみ利用でき、出版社は「個人出版」と表示され、出版後に変更できない。自己取得のISBNは、KDPに入力する書名・著者名・出版社名がISBN登録時の情報と一致している必要がある。
- 日本図書コード管理センター 料金表(2026-09-19確認)— 新規登録は8桁(1点)11,000円+税、7桁(10点)22,000円+税、6桁(100点)40,320円+税。