「とりあえず300部刷っておけば安心だろう」——この決め方をすると、後から在庫を抱える会社もあれば、逆にすぐ足りなくなる会社もあります。多すぎても少なすぎても困るのに、最初の部数をどう決めればよいかを教えてくれる基準は、実はあまり示されていません。

結論から書きます。印刷部数は思いつきの目安ではなく、配布・販売の計画から逆算して決めます。展示会で配る分、営業が持ち歩く分、採用で使う分。それぞれの用途ごとに必要数を積み上げ、そのうえで、少部数をその都度用意する方法と、まとめて印刷する方法のどちらが合うかを判断します。

本記事では、印刷部数をどう決めるかという一点だけを扱います。判型やページ数そのものの決め方は会社の本を紙でも出すに譲り、ここでは「何部か」の判断に絞ります。

この記事で分かること:

  • 印刷部数を用途ごとに積み上げて決める考え方
  • 少部数をその都度用意する方法と、まとめて印刷する方法の判断の分かれ目
  • 刷りすぎ・刷らなすぎ、それぞれの失敗の型

部数は「用途の積み上げ」から決める

まず、本を配る・売る場面を洗い出します。場面ごとに部数の見積もり方が違うため、ひとまとめにして「だいたい◯部」と決めると精度が落ちます。

用途 部数の見積もり方 注意点
展示会・セミナーでの配布 来場見込み数 × 想定配布率 初回は配布率が読みにくいため控えめに見積もる
営業同行・商談 想定商談件数 × 渡す割合 全商談で渡すとは限らない前提で数える
採用・会社説明会 説明会の参加予定人数 選考が進む候補者向けに追加分を分けて考える
取引先・株主への挨拶 対象先の件数 特定の日にまとめて必要になる
社内配布 社員数 増員の予定があれば上乗せする
書店・オンライン販売分 KDPなら都度印刷のため積み上げ不要 まとめて書店流通する場合は別途検討する

展示会での配布の考え方は展示会ノベルティに「AIで書く会社の本」でも扱っています。

たとえば、展示会2回で来場想定500人×配布率2割で200部、商談50件×渡す割合7割で35部、説明会3回で参加90人、取引先挨拶30件、社内配布50部を積み上げると、合計は400部程度になります。ここに予備を数十部加えるかどうかは、次の増刷までにかかる日数で判断してください。

この積み上げの合計が、最初に用意すべき部数の土台になります。 用途ごとに数字の根拠が違うため、関係する部署にヒアリングしてから合計してください。

つど用意するか、まとめて刷るかの分かれ目

用途を積み上げたら、次はその数字をどう用意するかを決めます。方法は大きく2つです。

比較項目 つど用意する(KDPの著者用コピーなど) まとめて印刷会社に発注する
発注の単位 必要になるたびに追加注文する 一度にまとまった数量を確定する
在庫 持たない 持つ
前払い 不要 必要
単価 部数によらずほぼ一定 まとめるほど下がりやすい
向いている場面 配布のタイミングが分散している、見込みが立ちにくい 特定の日程にまとまった数量が必要

Amazon KDPで出版している場合、自社で配る分は著者用コピーとして印刷コストで注文できます。再販も無料配布もでき、購入分にロイヤリティは発生しません。必要になった時点で必要な分だけ注文できるため、見込みが立てにくい用途に向いています。

一方、展示会のように「その日までにまとまった数量が要る」場面では、まとめて印刷会社に発注したほうが、当日になって足りなくなる事態を避けやすくなります。印刷会社の選び方と見積もりの比較の視点は印刷会社の選び方と見積もり比較のポイントで扱っています。

判断の目安は、配布のタイミングが読めるかどうかです。 日程が決まっている用途はまとめて用意し、日程が読めない用途はつど用意する、という組み合わせも選べます。

増刷を判断するタイミング

まとめて刷った分を使い切りそうな場合は、残数だけでなく「次に使う予定のイベントまでに必要な数」を基準に判断します。残数がその数を下回った時点で、印刷会社のリードタイムを踏まえて早めに増刷を打診してください。繁忙期は納品までの日数が普段より伸びることがあるため、直前ではなく余裕を持って動く必要があります。

KDPの著者用コピーを都度注文している場合は、在庫を厳密に管理する必要はありません。ただし発注してから手元に届くまでの日数は確保したうえで、展示会などの日程から逆算して注文してください。

刷りすぎと刷らなすぎ、それぞれの失敗の型

刷りすぎで起きること

  • 配る先を確保できないまま在庫として残り、保管場所が必要になる
  • 内容を更新したくても、残った部数が処分しづらく、改訂を先送りにする
  • 「せっかく刷ったから」と無理に配ろうとして、渡す相手を選ばなくなる

刷らなすぎで起きること

  • 展示会当日に足りなくなり、その場で追加できない
  • 増刷の手配が会期に間に合わず、次の機会に持ち越しになる
  • 少量の追加発注は割高になりやすく、結果的に総コストが上がる

どちらの失敗も、用途ごとの見積もりを飛ばして「きりのよい数字」で決めたときに起きやすくなります。展示会の配布率など読みにくい数字は控えめに見積もったうえで、足りなくなった場合の追加調達手段をあらかじめ確認しておくと、当日になって慌てずに済みます。

部数を決める前に確定させておくこと

印刷部数は、原稿とページ数が固まる前には正確に決められません。ページ数が変わると、印刷コストも、まとめて発注する場合の単価も変わるためです。

  1. 原稿の内容と分量のめどを立てる
  2. 本文の組版を進め、ページ数を確定する
  3. ページ数をもとに、印刷コスト・納期の見積もりを取る
  4. 用途ごとに積み上げた部数と照らし合わせ、最終的な数量を決める

この順番を逆にすると、先に決めた部数に合わせて原稿の分量を無理に調整する事態になります。ページ数の確定が部数決定の前提だと理解しておくと、日程の組み方がぶれません。

当社の対応

当社のAI書籍出版代行では、Amazon KDPへの入稿代行と、少部数の印刷・製本に対応しています。配布用途と想定部数をお伺いしたうえで、KDPの著者用コピーで足りるか、まとまった部数の印刷が必要かをご提案します。

ただし、展示会の来場者数や営業先の商談件数といった配布計画そのものは、御社でお持ちの情報が前提になります。積み上げの材料がまだまとまっていない段階でも、一緒に整理しながら進められますのでご相談ください。

費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)です。書店流通向けの大ロットの印刷や、倉庫での在庫管理は含みません。費用の内訳全体は企業出版の費用は何にかかるかにまとめています。

まとめ

  • 印刷部数は、配布・販売の用途ごとに必要数を積み上げて決めます。
  • 日程が読める用途はまとめて発注し、日程が読みにくい用途はKDPの著者用コピーなどでその都度用意する組み合わせが基本の考え方です。
  • 刷りすぎは保管と改訂の足かせになり、刷らなすぎは会期中の欠品と割高な追加発注につながります。
  • 部数は原稿とページ数が確定してから最終決定します。順番を逆にしないでください。
  • 展示会や商談の配布計画は御社の情報が前提になるため、早めに材料を揃えておくと部数の判断がしやすくなります。

最初の部数で迷ったら、用途の洗い出しからご一緒します。

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