すでに1冊出版した経営者から、「2冊目を出したい」という相談を受けることがあります。1冊目の反応が良かった、新しい事業展開があった、理由はさまざまですが、共通する悩みは一つです。1冊目と同じ話を繰り返しても意味がないという点です。
初めて本を出す場合は、目的と読者から企画を立てれば済みます。2冊目はそこに「1冊目で何を語ったか」という制約が加わります。本記事では、1冊目との重複を避けながら2冊目のテーマを選び直す手順を整理します。
この記事で分かること:
- 1冊目の内容を軸に、2冊目のテーマを選び直す考え方
- 1冊目から使い回せる素材と、作り直す必要がある素材の見分け方
- 2冊目にありがちな失敗の型
1冊目の位置づけを言語化する
2冊目のテーマを考える前に、1冊目が「何を、誰に向けて」語ったかを整理します。多くの1冊目は、次のいずれかの型に当てはまります。
| 1冊目の型 | 主な内容 | 主な読者 |
|---|---|---|
| 創業・経営理念型 | 創業の経緯、経営理念、会社全体の歩み | 取引先・採用候補者・地域社会 |
| 採用ブランディング型 | 働く環境、社員の声、求める人物像 | 採用候補者 |
| 事業紹介型 | 特定事業の強み、専門性 | 顧客・業界関係者 |
1冊目がどの型に近いかを確認すると、2冊目でまだ語られていない領域が見えてきます。
重複を避けるための2つの動かし方
2冊目のテーマは、「読者」と「切り口」のどちらか、あるいは両方を1冊目から変えることで重複を避けられます。
| 動かし方 | 具体例 |
|---|---|
| 読者を変える | 1冊目が採用向けなら、2冊目は既存顧客・取引先向けにする |
| 切り口を変える | 1冊目が会社全体の理念なら、2冊目は特定事業や特定の判断に絞り込む |
| 時間軸を進める | 1冊目が創業から現在までなら、2冊目はその後の展開や次の世代への引き継ぎを扱う |
| 語り手を変える | 1冊目が経営者本人なら、2冊目は後継者や事業責任者を語り手にする |
両方を1冊目と同じにすると、内容も似通います。 少なくともどちらか一方は変える、という判断が出発点になります。語り手を後継者に変える場合の書き方は先代と比較されがちな二代目社長は、自分の言葉をどう経営者本に持つかで扱っています。
重複していないかを確認する手順
企画段階で「重複していないつもり」でも、原稿にしてみると1冊目と似た表現や例え話が出てくることがあります。確認の手順としては、次の流れが実務的です。
- 1冊目の目次と主要なエピソードを一覧にする
- 2冊目の構成案を作った段階で、一覧と突き合わせ、重なる箇所に印を付ける
- 重なる箇所は、切り口を変えるか、簡単な要約に留めて深入りしないかを決める
- 原稿の初稿ができた段階で、もう一度1冊目と読み比べる
この突き合わせの作業は、1冊目の制作に関わっていない担当者が行うと精度が上がります。書いた本人は「変えたつもり」でも、読者から見ると似た表現になっていることに気づきにくいためです。この確認工数は1冊目にはなかったもので、2冊目特有に増える作業です。
使い回せる素材、作り直す素材
1冊目の制作で得た素材のうち、2冊目でそのまま使えるものと、作り直しが必要なものがあります。
- 使い回せるもの:創業の経緯など、事実として変わらない部分の記述。ヒアリングで得た経営者の判断基準のうち、2冊目のテーマにも関わるもの。
- 作り直す必要があるもの:2冊目のテーマに沿った新しいエピソード。1冊目の刊行後に起きた出来事や判断。読者が変わる場合は、語り口や説明の前提も変わります。
既存の音源や資料が使える場合、ヒアリングにかかる時間を短縮できることがあります。ただし、企画設計・執筆・編集・デザインといった工程そのものは2冊目でも必要になるため、費用が1冊目より大きく下がるわけではありません。 制作全体の工程と費用の内訳は企業出版の費用は何にかかる?で確認できます。
誰が読み、誰が決めるか
2冊目の読者には、1冊目をすでに読んでいる層と、2冊目から初めて手に取る層の両方が混ざります。前者は取引先や既存社員など、会社との関係が続いている相手であることが多く、後者は新しい事業展開に関心を持った相手や、新しく接点を持った候補者であることが多くなります。
この2種類の読者を意識すると、企画の決裁者も見えてきます。テーマそのものの選定は経営者の判断ですが、1冊目との整合性や配布の範囲は、広報担当者が実務的に確認する事柄です。 経営者が「新しいテーマで書きたい」と考えても、広報の視点から「1冊目の読者にどう映るか」を確認する工程を挟むと、公表後の受け止められ方のずれを防げます。
2冊目にありがちな失敗
- 同じエピソードを再利用する:1冊目を読んだ読者には既視感しかなく、新しく読む理由がありません。
- 1冊目と矛盾するメッセージになる:切り口を変えすぎて、会社としての一貫性が失われる場合があります。読者が両方を読んだときに違和感が出ないか、企画段階で確認してください。
- 1冊目を読んでいる前提で書く:2冊目から手に取る読者もいるため、単独で読んでも通じる説明を残す必要があります。
- 反応が良かった部分だけを繰り返す:1冊目で好評だった章をそのまま拡張しただけでは、新しい情報がなく物足りない内容になります。
企画そのものの立て方は、会社の本のテーマの決め方で扱っている「目的→読者→読後の変化」という逆算の手順が基本になります。2冊目では、そこに「1冊目との差分」という制約を一つ加えて考えてください。
なお、1冊目の反応が良かったことをきっかけに、間を置かず2冊目の企画に入りたいという相談もあります。反応の良さ自体は前向きな理由ですが、企画の中身が伴わないまま急いで進めると、上記の失敗を招きやすくなります。新しく語れる内容が具体的に見えているかどうかを、着手前に確認してください。 具体的に見えていない場合は、企画を急がず、新しい判断や展開が生まれるまで様子を見るという選択も現実的です。急いで出した2冊目が反応の薄いものになると、1冊目まで印象が引きずられかねません。1冊で終わらせず、じっくり2冊目のタイミングを待つという判断も、長期的には十分に合理的な選択です。焦って企画を進める必要はなく、材料がそろってから着手しても遅くはありません。当社へのご相談も、企画がまだ固まりきっていない構想段階から、どうぞお気軽に、遠慮なくお声がけください。
当社の対応範囲
当社のAI書籍出版代行では、2冊目のご相談の際に1冊目の内容を確認したうえで、重複を避ける企画設計を行います。ヒアリング、AIによる執筆、プロ編集者による品質確認、図表・表紙デザイン、Amazon KDPへの入稿代行、少部数の印刷・製本までが対象です。**費用は80万円〜(税抜・表紙デザインを含む)**です。
1冊目と2冊目のメッセージに矛盾が生じないかの最終判断は、経営者ご本人と広報担当者にお願いしています。当社では原稿レベルでの整合性は確認しますが、会社としての意思決定そのものは行いません。書店流通・書店営業・倉庫や在庫の管理も含みません。
まとめ
- 2冊目の企画は、まず1冊目が「何を、誰に向けて」語ったかを整理することから始めます。
- 重複を避けるには、読者・切り口・時間軸・語り手のうち、少なくとも一つを1冊目から変えます。
- ヒアリング済みの素材は使い回せますが、企画・執筆・編集の工程は2冊目でも必要で、費用は大きくは下がりません。
- 同じエピソードの再利用や、1冊目を読んでいる前提の構成は、2冊目特有の失敗として避けてください。
- 当社は原稿レベルの整合性を確認しますが、会社としてのメッセージの一貫性は御社の判断が必要です。
1冊目の内容を拝見しながら、2冊目のテーマを一緒に整理します。