会社として本を発行したとき、「国立国会図書館に納めないといけないのでは」と気になる担当者は少なくありません。社史や記念誌のように、まとまった部数を配る本ではとくによく出る疑問です。

結論から言うと、納本が必要かどうかは、頒布の目的と部数によって決まります。 全ての出版物が対象になるわけではなく、逆に「うちは商業出版ではないから関係ない」とも言い切れません。この記事では、納本制度の仕組みと、会社の本が対象になる条件を整理します。

この記事で分かること:

  • 納本制度の法的な根拠と、対象になる出版物の条件
  • 発行日から数えた期限と、納入時に交付される代償金
  • 社史・記念誌やKDPで出版する本が対象になるかどうかの考え方

納本制度とは

納本制度は、国立国会図書館法に基づく制度です。頒布を目的として相当部数作成された、国内で発行された出版物が対象になります。

民間の出版物は、1部発行の日から30日以内に納入することとされています。納入すると、納入出版物代償金が交付されます。金額は小売価格の5割に送料相当額を加えたものです。

項目 内容
根拠法 国立国会図書館法
対象 頒布目的で相当部数作成された国内発行の出版物
納入部数 民間出版物は1部
期限 発行の日から30日以内
代償金 小売価格の5割+送料相当額

会社の本は対象になるか

ここで担当者が最も迷うのが、「相当部数」がどのくらいを指すのかという点です。社史・団体史等の出版物や個人による自費出版物でも、相当の部数を作成し頒布されているものは納本の対象になります。 その目安として、相当部数は通常100部以上が基準とされています。

つまり、社史や記念誌であっても、市販していない・非売品であるという理由だけでは対象外になりません。頒布目的で100部以上作成しているかどうかが、判断の出発点になります。

ケース 部数の目安 納本の要否の考え方
展示会・イベントで配る少部数 数十部程度 相当部数の基準に届かない可能性がある
社史・記念誌を関係者に配布 100部以上 対象になりやすい
取引先・株主への配布を含む発行 100部以上 対象になりやすい
書店で一般販売 相当部数(多くは基準を超える) 対象になりやすい

この表はあくまで目安です。 境界線上のケースの判断は、国立国会図書館の窓口に個別に確認することをお勧めします。特に、社史や記念誌の企画を進める際は、AIで社史・記念誌を書く|会社の歩みを一冊にまとめる費用と進め方と合わせて、配布計画の段階で確認しておくと後戻りが少なくなります。

「頒布」の範囲も窓口で確認する

相当部数の基準に加えて、「頒布」に社内配布だけの場合も含まれるのか、社外の関係者への配布が前提なのかという点も判断に影響します。この記事のファクトバンクの範囲では、頒布の定義について社内配布と社外配布を明確に区別した記載までは確認できていません。社内のみで配る予定でも、部数がまとまっている場合は、頒布の範囲についてもあわせて国立国会図書館の窓口に確認しておくと安心です。

電子書籍だけの場合はどうか

紙の本を作らず、電子書籍だけで発行するケースも増えています。この記事のファクトバンクの範囲では、電子書籍単体の場合の納本の要否について明確な基準を確認できていません。 納本制度は紙の出版物を前提とした説明が中心になっているため、電子書籍のみで発行する場合は、対象になるかどうかを国立国会図書館に個別に確認することをお勧めします。

KDPだけで出版する場合の考え方

Amazon KDPのペーパーバックは、注文が入るたびに1冊ずつ印刷される仕組みです。あらかじめ何部刷るかを決めて印刷する従来の出版とは異なり、「相当部数を作成した」と言える時点がいつなのかがはっきりしません。

この点について、当方が確認できた一次情報の範囲では明確な基準を見つけられていません。 KDPだけで販売し、手渡し用の著者用コピーも少部数にとどめる場合、納本の対象になるかどうかは断定せず、国立国会図書館に個別に確認することをお勧めします。紙の本の作り方自体は会社の本を紙でも出す|ペーパーバックと少部数印刷の選び方で解説しています。

一方、書店流通を伴う発行で相当部数を印刷する場合は、通常の民間出版物として納本の対象になりやすいと考えられます。書店流通の仕組みについてはISBNと書店流通の基礎|会社の本が「どこで買えるか」を決める仕組みをご覧ください。

納本の手順と代償金

納本の対象になる場合、押さえておく点は次の3つです。

  1. 期限:発行の日から30日以内。発行日は奥付に記載した日付が基準になります。
  2. 部数:民間出版物は1部。
  3. 代償金:小売価格の5割に送料相当額を加えた金額が交付されます。非売品で小売価格が存在しない場合の扱いは、窓口への確認が必要です。

期限が発行日から数えられる点は見落としやすい部分です。 印刷・製本が終わってから納本の要否を検討し始めると、期限に間に合わない可能性があります。部数や配布計画が固まった段階で、早めに確認しておくことをお勧めします。

納本しなかった場合の扱い

「対象なのに納本しなかったらどうなるのか」という質問もよく受けます。この点についても、当方が確認できた一次情報の範囲では、罰則の有無や実務上の督促の流れといった具体的な内容までは確認できていません。 義務の実効性や個別の対応については、断定せず、国立国会図書館に直接問い合わせることをお勧めします。判断に迷う段階で放置せず、早めに窓口へ確認しておくことをお勧めします。

当社の対応範囲

当社のAI書籍出版代行では、企画・執筆・編集、少部数の印刷・製本、Amazon KDPへの入稿代行までを担当します。納本が必要かどうかの判断と、実際の納入手続きは当社の標準プランには含まれていません。 対象になりそうな部数・配布計画が見えている場合は、企画の段階でご相談いただければ、確認すべき窓口の整理までは一緒に進められます。

費用の内訳全体は企業出版の費用は何にかかる?見積書の内訳と実費の目安にまとめています。

まとめ

  • 納本制度は国立国会図書館法に基づき、頒布目的で相当部数作成された国内発行の出版物が対象です。
  • 民間出版物は1部を、発行の日から30日以内に納入します。
  • 納入すると、小売価格の5割+送料相当額の代償金が交付されます。
  • 社史・記念誌や自費出版物も、相当部数(通常100部以上が基準)作成していれば対象になります。
  • KDPのPOD方式が対象になるかどうかは一次情報で確認できておらず、境界線上のケースは国立国会図書館への確認が必要です。

配布計画の部数から、確認すべき点を一緒に整理します。

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参考情報

  • 国立国会図書館 納本制度の概要(2026-09-19確認)— 国立国会図書館法に基づく制度で、頒布目的で相当部数作成された国内発行の出版物が対象。民間出版物は1部を発行の日から30日以内に納入し、小売価格の5割+送料相当の代償金が交付される。
  • 国立国会図書館 企業・団体、個人からの納本(2026-09-19確認)— 社史・団体史等の出版物や個人による自費出版物でも、相当の部数(通常100部以上が基準)を作成し頒布されているものは納本の対象になる。

※本記事は一般的な説明であり、個別の事案についての法的助言ではありません。