印刷会社や制作担当者との打ち合わせで、「柱はどうしますか」「ノンブルの位置は」「束が決まらないと表紙が作れません」といった言葉が出てくることがあります。初めて本を作る担当者にとっては、聞き慣れない用語がまとめて出てくる場面です。
これらは意味が分からなくても制作自体は進みますが、何を指しているかを知っておくと、印刷会社とのやり取りで的確な判断ができます。 本記事では、柱・ノンブル・束・台割の4つの用語について、意味と使われる工程を整理します。
この記事で分かること:
- 柱・ノンブル・束・台割がそれぞれ何を指すか
- これらの用語が制作のどの工程で登場するか
- 用語の理解不足が原因で起こりやすい手戻り
柱(はしら)とは
柱は、ページの上部や小口側の余白に入る、章タイトルや書名を示す文字のことです。読者がページをめくりながら「今どの章を読んでいるか」を確認できるようにする役割があります。雑誌や実用書でよく見かける、各ページの端に小さく入っている見出しがこれにあたります。
柱は本文の組版の段階で入力されます。章タイトルが後から変わると、柱の文字も出力し直す必要があります。会社の本では、章タイトルに加えて社名やシリーズ名を柱に入れるレイアウトを選ぶこともあり、その場合は表記の統一(正式社名か略称か、英語表記の有無など)を組版前に決めておく必要があります。
ノンブルとは
ノンブルはページ番号のことです。単なる連番ではなく、印刷・製本の工程でページの順序を管理するための番号でもあります。表紙や扉、目次など、ページ番号を表示したくないページには、数としては数えるが印字はしない「隠しノンブル」という扱いもあります。
ノンブルは組版の段階で入りますが、実際に機能するのは校正の段階です。原稿の途中に章が差し込まれたり削除されたりすると、ノンブルがずれていないかを確認する必要があります。目次や本文中に「◯ページ参照」といった表記がある場合、ページがずれるとその参照先も合わなくなるため、校正では本文とノンブルの両方を突き合わせて確認します。
束(つか)とは
束は、本文の紙の厚みが積み重なってできる、本の背の厚さのことです。ページ数と用紙の種類によって決まります。
Amazon KDPのペーパーバックでは、背の厚さは次の計算式で決まります。
| 用紙の種類 | 背幅の計算式 |
|---|---|
| 白の用紙 | ページ数 × 0.0572mm |
| クリーム色の用紙 | ページ数 × 0.0635mm |
たとえば200ページ・白の用紙なら、200 × 0.0572 = 11.44mmが背幅の目安です。この数値は、ページ数が確定して初めて計算できます。 組版の途中で原稿の分量が増減すると、束の数値も変わります。
束が重要になるのは、表紙データを作る段階です。表紙は表表紙・背表紙・裏表紙を1つの画像にまとめて作るため、背表紙の幅が決まらないと表紙全体のレイアウトが確定しません。束の確定が遅れると、表紙デザインの着手も遅れます。
なお、KDPの仕様では、背表紙に文字を入れられるのは79ページを超える本だけです。それ以下のページ数の薄い本では、背表紙は無地になります。ページ数が少ない本を予定している場合、この制約を早い段階で把握しておくと、表紙デザインのイメージ違いを防げます。
台割(だいわり)とは
台割は、本のどのページに何を配置するかを一覧にした設計図です。章・見出し・図版・写真・扉ページなどを、ページ番号や見開き単位で並べた表を指します。組版に入る前、企画・構成の段階で作成します。
台割を先に作る理由は、ページ数を見積もり、後工程の作業量とスケジュールを組み立てるためです。台割がないまま執筆や組版を進めると、途中で「思ったよりページが余った」「章の途中でページが割り切れない」といった調整が発生し、後戻りが増えます。
4つの用語が登場する制作の流れ
| 工程 | 登場する用語 | この段階で決まること |
|---|---|---|
| 企画・構成 | 台割 | 章立てとおおよそのページ配分 |
| 執筆・原稿確定 | (台割の見直し) | 実際の分量と台割のズレの調整 |
| 組版 | 柱・ノンブル | 章タイトルの表示、ページ番号の付番 |
| ページ数確定 | 束 | 背表紙の幅 |
| 表紙データ作成 | 束(背幅の反映) | 表紙全体のレイアウト |
| 校正 | ノンブル・柱の最終確認 | ページ順・章タイトル表示の誤りがないか |
この表からも分かるとおり、台割→組版→束→表紙という順序は前後させられません。 ページ数が固まる前に表紙を作り始めると、作り直しになります。紙の本を作る際の全体の日程については会社の本を紙でも出すでも触れています。
印刷会社との打ち合わせでよくあるつまずき
- 台割を確定せずに執筆を進め、組版後にページ数が動いて束を再計算する手戻りが発生する。 章立てとおおよそのページ数を、執筆前に台割として固めておくと防げます。
- 章タイトルを校了直前に変更し、柱の再出力が必要になる。 柱に表示するタイトルは、他の修正が落ち着いた段階で確定させます。
- 薄い本を予定していたのに、背表紙に文字を入れたいと後から気づく。 KDPの仕様では79ページ以下の本は背表紙に文字を入れられないため、ページ数の見込みと表紙デザインの希望は早い段階ですり合わせます。
- ノンブルの位置や書式を印刷会社の指定と合わせずに入稿し、差し戻しになる。 入稿前に印刷会社側の仕様(表紙データの解像度や裁ち落としなど)と合わせて確認します。表紙データの要件は会社の本の表紙デザインにまとめています。
当社での扱い
当社では、企画設計の段階で台割の骨子を作成し、章立てとおおよそのページ配分の見通しを立てます。組版時の柱・ノンブルの設定、ページ数確定後の束の計算、表紙データへの反映は、当社の制作工程の中で対応します。
ただし、最終的な章立てとページ配分は、御社との内容確認を経て確定します。 執筆中に分量が大きく変わる場合は、台割の見直しについてご相談させていただきます。企画の立て方全体は会社の本のテーマの決め方もあわせてご覧ください。
まとめ
- 柱は章タイトルなどを示す見出しで、組版の段階で入ります。
- ノンブルはページ番号で、校正段階でページ順の確認に使われます。
- 束は本の背の厚みで、ページ数が確定して初めて計算できます。
- 台割は各ページに何を配置するかの設計図で、企画段階で先に作ります。
- 台割→組版→束→表紙という順序は前後できず、確定が遅れると後工程が遅れます。
印刷会社との打ち合わせで出てくる用語の意味が分からず不安な場合も、事前にご相談いただけます。
参考情報
- Amazon KDP ペーパーバックの表紙の作成(2026-09-19確認)— 背幅の計算式は白の用紙がページ数×0.0572mm、クリーム色の用紙がページ数×0.0635mm。背表紙に文字を入れられるのは79ページを超える本だけ。
※仕様・料金は改定されることがあります。実際のご検討にあたっては公式ヘルプで最新の内容をご確認ください。